目標地図 年内に素案作成へ 迅速・効果的に意向調査 神奈川・厚木市農業委員会

 厚木市農業委員会(山川宏司会長、農業委員12人、農地利用最適化推進委員14人)は、目標地図の素案作成に向け、所有者などの意向把握を進めている。同委員会事務局は8人体制だが、限られた人員でも迅速で効果的に事務作業ができるよう、業務効率化を進めている。

意向調査票に記入する農業者

本年度「農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律」の施行により、市町村は地域計画を策定、農業委員会はその計画に必要な目標地図の素案を作成することが法定化された。
 神奈川県の中央に位置する厚木市は、農地面積約1250㌶、農地筆数約2万4千筆の県内でも有数の農業地域。同市も他の市町村と同じく、地域計画と目標地図作りに取り組んでいる。
 同市農業委員会は、市農業政策課と相談し、地域計画・目標地図素案作成の区域は調整区域内の農地を対象とすることとした。また、市内を7区域に分け、地域計画と目標地図を同じ区域にする。
 年明けから各地域の話し合いが始まることから、目標地図の素案を年内に作成することになり、11月から郵送で意向調査を開始した。調査対象者は、農地所有者(世帯主)、耕作者(農地の賃借人など)の合計4千人余りになった。
 しかし、調査をするためには課題もあった。各世帯情報や土地情報などは別々のデータで管理されており、それらを独自様式の調査票に盛り込むためには各データを結び付け、必要項目のみを抽出しなければならなかった。そこで農業委員会事務局の比嘉定明主任は、農業委員会サポートシステムから出力した各データを自動で加工処理できるよう研究した。エクセルを活用した仕組みを構築し、必要な項目を抽出できるようにした。

市農業委員会事務局での意向調査票の発送作業

 意向調査票の配布・回答方法についても工夫した。回答は、意向を登録したWebサイトでの回答が望ましいが、対象者の75%が65歳以上と比較的高齢者が多い。約4500件の調査に対して、9割以上は紙媒体で回答があることを想定し、手書きの回答を読み取り、記載内容を文字列にして自動でデータ加工処理ができる「AI-OCR」に着目。手での入力作業の代替をすることで、事務局の負担を減らした。
 データ化した回答はCSVファイルとして出力後、農業委員会サポートシステムへ取り込み、意向把握業務の効率化と負担軽減を進めることができる。
 山川会長は「全国的に農業委員会の職員が不足している。アンケート作成の自動化や回答があった意向の読み込みなどのシステム化により、限られた人員でも迅速かつ効果的に目標地図の素案作成を進められるようになると思う。この取り組みが他の農業委員会の業務改善にも役立てれば」と取り組みの意義を語った。