充実した「話し合い」へ団結 秋田・にかほ市地域農業者協議会

 にかほ市では、農業者・行政・農業団体などが連携して各地区の農地利用などを話し合う「にかほ市地域農業者協議会」を2023年1月に設立。同市農業委員会(小林豊会長)は、各地区で行われる同協議会主催の「話し合い」に、農業委員・農地利用最適化推進委員が出席しその場を牽引(けんいん)するなど、現場に密着した活動を行っている。

付箋でメモを書き入れる参加者

 同市では、「地域計画」を「人・農地プラン」からさらに踏み込んだ内容とするためには、各地区で農業の現状と課題、これからについて協議した結果を地域計画に反映させることが重要と考え、JAと協力して同協議会を立ち上げた。同協議会事務局は、JA秋田しんせいと市農林水産部、市農業委員会の3者が担う。
 農業委員会では、23年8月から始まった話し合いにその地区の農業委員・推進委員が出席し、委員会事務局が進行や取りまとめをしている。
 話し合いは、参加者が集落ごとに設置されたテーブルに分かれ行われる。テーブルには、集落の現在の農地の利用状況を色分けした大きな地図が置かれ、参加者は配布された6年前の地図と見比べ、状況を把握しながら検討。参加者からは農地の利用状況の変化を目の当たりにし課題や意欲のほか、「こうした話し合いを定期的にすることで効果が出る」などの意見が聞かれた。
 市農林水産課の見留英介副主幹は「まずは参加者に口を開いていただくことが大切。結果も活用し、徐々に目標地図の熟度を上げていきたい」と話す。
 同市平沢地区の話し合いに出席した遠藤豊会長職務代理者は「ネガティブな発言ばかりせず、明るい兆しを見いだせるように話し合っていくことを心掛けている。あがった課題を、参加者の思いとともに改善に向けていきたい」と話す。

地図を囲み話し合う参加者と、基盤整備事業の情報提供をする小林会長(中央)

 小林会長は、市内全8地区の話し合いに出席し、基盤整備事業に関する情報提供をするなど、精力的に取り組んでいる。小林会長は「課題があがれば、『その対応策としてこの事業の活用はどうか』『でもその事業は要件が厳しい』などと、課題の共有とその対応という点での話し合いが徐々にできてきていると思う。地区ごとに状況はさまざまで、基盤整備を行った地区でも約10年後の後継者不在が課題という場合もある。各地区で出席し、意欲ある農業者はいると感じる。その意欲や思いを形にしていくためにも、こうした話し合いで有効な対応策を模索していくことが大切」と語る。
 同市では23年12月までに、市内全8地区で1回目の話し合いを実施。今後は、調査結果を反映した目標地図の素案を作り、次年度以降の話し合いと地域計画の策定に向け取り組んでいくことにしている。