遊休農地解消へ地域住民が協力 福島 昭和村農業委員会

 昭和村農業委員会(菅家勝会長、農業委員12人、農地利用最適化推進委員2人)では、委員会が主体となり遊休農地解消に向けた話し合いを通じて、地域計画の策定と目標地図の素案作成に取り組んでいる。

地域内の地図を見て意見交換する参加者

 昭和村は、福島県の西部に位置し、会津地方の山間部にある自然豊かな村だ。本州で唯一のからむし生産地でその品質の高さが評価されている。
 また、カスミソウの生産が盛んで、夏秋期の生産量が全国シェアの6割を占める。およそ40年前から昼夜の寒暖差を活かして栽培されており、県内外からカスミソウを栽培したいという移住者が増えているという。
 しかし、カスミソウの生産量が増加する村でも農業就業人口の減少は抑えることができず、大きな課題になっている。兼業農家世帯も含めた農家世帯数は、2010年は202世帯だったが、20年には116世帯にまで減少(20年農林業センサス)。利用条件の良い農地に集約が進む一方で、利用条件の悪い中山間部の農地では離農や遊休化に歯止めが利かない状況となっている。
 その中で村は農業委員会を中心に23年、地域計画の策定に取り掛かった。村内を10地区に分けて進めており、本年度は「大芦地区」をモデル地区に設定、先行して座談会を開くことにした。

焦点は遊休農地の解消で、同地区は約70㌶の農地のうち40㌶が遊休化しておりそのほとんどが山間部だ。70歳以上の農業経営者の8割は後継者が確保できていない状況もあわせ、今後の計画の策定が困難と判断された。しかし、移住者が最も多い地区であり、遊休農地を解消し活用することで活性化するとも考えられ、先行して話し合いを進めることになった。
 話し合いは、農業委員会が主導。(一社)会議ファシリテーター普及協会(MFA)のワークショップ方式を採用した。30代から70代の農業者や美容室経営者、区長、農業委員などさまざまな職業が課題解決や合意形成、情報の共有を進めようと集まった。農閑期の11月から12月の間に計4回集まり、地域の将来について検討した。
 さまざまな意見を取りまとめ「ハードルの低い農業」を実践することに決定。遊休農地を解消するにも費用と労働力は手が回らない状況だが、すぐに作付けができる状況であれば、農業者も手を出せるとの意見が多かった。区長が中心になり、機械の貸与や労働力の提供など地域住民で協力して遊休農地を解消することとなった。
 農業委員会では、今後、県や村、農業会議などと協力しながら、地域計画の策定に向けて活動する。解消した遊休農地の地権者などの意向を把握し、移住したカスミソウ農家など担い手を決めていくこととしている。