農地を守り 活かし 次世代につなぐ 香川・小豆島町農業委員会

 小豆島町農業委員会(秋長正幸会長、農業委員14人、農地利用最適化推進委員9人)は、関係機関と連携し、地域計画の策定に奔走している。地域での話し合いに積極的に出席するだけでなく、新規就農者を確保・育成するなど、農地を守り活かす取り組みを進める。

町内全9地区に分け、話し合いを進めた

 小豆島町では9月までに全9地区で話し合いを終えた。町農業委員会は、町、小豆農業改良普及センターなど関係機関と連携し、各地区の話し合いに出席。情報提供をするなど、充実した会議となるよう努めた。
 町農業委員会の担当者はそこで出た意見を振り返り、「地域によって農地の利用状況や営農類型が異なることを確認した。特産のオリーブの振興は重要なので、農業法人などによる産地の維持・活性化についても話が出た」と話す。また、「小豆島町中山棚田協議会」が主体の田の保全活動や、集落営農法人による農地集積など、さまざまな形で農地を守ろうという声もあった。担当者は「観光産業との連携を進めていくべきなどといった前向きな意見も出た」という。
 ほとんどの地区に出席した秋長会長は「10年後を描くのは難しいが、使える農地を農地として使っていく、次世代へつないでいくことが大事。そのためにも荒廃する前に、農地中間管理機構を積極的に活用して担い手に結びつけることを日頃から意識して活動している」と話す。
 話し合いの内容を基に目標地図の素案を取りまとめ、地域計画の策定に向けて進んでいる。

収穫前のオリーブを確認する秋長会長

 同町は、新規就農者の確保にも力を入れており、「毎年1人程度、確保していければオリーブの振興にもつながる」と秋長会長は語る。秋長会長自身もオリーブ生産・加工・販売する農業法人「㈱アグリオリーブ小豆島」を営んでおり、オリーブで新規就農をめざす人たちを積極的に受け入れ・育成してきた。
 農業委員会としても新規参入相談に対応しているほか、農地情報の紹介、就農後の経営が確立できるようフォローアップに努めている。最近では、地元の大学を卒業した女性や福島県出身のパートナーと移住した外国人が就農しており、農業を担う者として目標地図にも位置づけていく。
 小豆島町は「オリーブ課」を2008年に設置。11年度からは、産地を守り育てようと「小豆島オリーブトップワンプロジェクト」に取り組み、10年間で収穫量が約3倍の422㌧に増えた。同課担当者は「苗木助成、学校への出前授業、学校給食への提供、入学・結婚・移住など人生の節目でオリーブの苗木を贈るなど振興を図ってきた。オリーブ検定もぜひ挑戦してほしい」と話す。