市内81農会で地域計画策定へ 兵庫 三田市農業委員会

 三田市(さんだし)と市農業委員会(中島稔彦会長)は、連携して市内全対象地域での地域計画作りを進めてきた。その結果、2025年3月末までに、市内81農会で地域計画の策定が完了する見込みだ。

農地パトロール中の各委員。右端は前職務代理

 三田市は、県の南東部に位置し、温暖な瀬戸内海気候と朝夕の寒暖差を利用した「三田米」や高級和牛として有名な「三田牛」をはじめ、大都市近郊の立地を生かした野菜栽培が盛んな地域だ。
 地域計画の策定に向け、市と市農業委員会では、23年度から取り組みを始めた。
 市農業委員会は、農地所有者や耕作者約3千人を対象に、今後の農地利用などの意向に関するアンケート調査を実施。この結果を踏まえ、24年3月に農業経営に関する現状や今後の意向を示した目標地図の素案を作り、市農業振興課へ提出した。
 前仁司(まえひとし)会長職務代理は「アンケートにより地域の現状を把握し、各農家が共通認識を持つことが重要」と話す。
 アンケートから「所有者・耕作者・年齢別・後継者の有無」などを地図に反映し、「このままでは地域農業がどうなるのか」なども含め、各農家が地域の現状を共有できるようにしたという。

農会長などが参加した地域計画ワークショップ。農業委員・推進委員も積極的に参加した

 本年度は、市農業振興課が地域との話し合いの場である「地域計画ワークショップ」を開いた。24年5月から10月まで延べ84回、農会長など地域の代表やJA、県など関係機関が集まり、何度も話し合った。各地域を担当する農業委員・農地利用最適化推進委員も参加し助言した。
 前職務代理は「農家には、自分の農地を貸し出し、集約されることに不安がある。ワークショップを重ねることで不安を払拭した」と語る。このワークショップで理解を深めたことが多くの対象地域での地域計画の策定につながったと実感を込める。
 前職務代理は「地域計画を策定することで国や県の補助事業も活用できる。10年後の地域の姿を見据え、『まずやってみよう』との想いで取り組んだ」と振り返る。また、「地域計画作りを通して、若手の農会長を含め各農家が農業を持続していくことの重要性とその可能性を認識できたことも大きい」と語った。