守るべき農地を明確化 大玉村農業委員会
大玉村農業委員会(渡邉栄治会長、農業委員9人、農地利用最適化推進委員8人)は、非農地判断を進めることで守るべき農地とそうでない農地を明確化。台帳整理をすることで業務の負担軽減に取り組んでいる。
大玉村は、県のほぼ中央に位置し、標高約1700㍍の安達太良山の裾野に広がる自然豊かな村だ。肥沃な土壌と山から流れる豊富な水資源を活かし、平野部では稲作、中山間部では野菜や和牛、果樹など多彩な農畜産物が生産されている。
同村では、2021年度の農水省の農地政策課長通知「非農地判断の徹底について」をきっかけに、耕作放棄地の非農地判断を迅速に進めることにした。「守るべき農地は確保」「農地的利用が困難な場合は非農地化」と決め、管理する農地を減らし、台帳整理の簡略化もすることで事務負担の軽減もめざした。
非農地判断は、職権登記して推進しようと計画したが、所有者などとのトラブルや地目変更に必要な書類整備での業務量の増加などの課題があった。そこで同村では、農地所有者に対して連絡を取ることに力を入れる。説明を丁寧にし地目変更に対する承諾書をもらうこと、依頼をしても報告がなかった場合には農業委員・推進委員や事務局などが自宅に訪問し意向を聞くことなど、必ず所有者が内容を確認するようにした。
また、「農地台帳から当該農地の除外」と「課税部局への報告」は地目変更の完了通知後に行い、登記地目と農地台帳の齟齬(そご)によるトラブルを回避する。

非農地判断は、毎年、農業委員・推進委員を対象とした研修会を開き、判断軸を統一するようにしている。
農地の現地調査では、基本的にタブレットを活用して情報をデータ化。タブレット操作に不慣れな委員は、紙に記入して事務局が代わりに入力する。入力情報は、基本的に農業委員会サポートシステムで管理するが、村独自のエクセル表でも整理するなど、農地情報の管理を分かりやすくすることで業務の効率化を図っている。また、村課税部局や法務局と綿密な打ち合わせをすることで、お互いの意識の差異が生じないようにしている。
これらの取り組みの結果、21年から23年までに1274筆、合計約117万平方㍍の農地を非農地と判断し、そのうち約98%の農地を地目変更登記まで済ませた。
村では今後も、非農地判断の基準を明確にし、非農地の場合は地目変更登記まで済ませるなど、土地の利活用について積極的に取り組んでいく方針だ。