農地を活かし担い手を応援 所有者の農地復元を支援 福井県 坂井市農業委員会

 福井県坂井市は県の北部に位置し、市の南部を九頭竜川が流れ、北部は砂丘地と丘陵地が広がっており、豊かな自然に恵まれている。2006年に、4町が合併した同市の広域に広がる農地を維持し、確保していくために、同市農業委員会(吉田清憲会長)は、耕作放棄地の再生に積極的に取り組んでいる。

 農業委員会に、「農地を借りてくれる人はいないだろうか」とその農地の相続人から相談があったのは2015年6月だった。相談のあった農地は、その所有者が県外に在住していたために、20年ほど前から耕作できず、山林化しつつあった。
 農業委員会事務局の加藤昭治事務局長は、以前から「所有者本人に、遊休農地に対して意識を持ってもらうことが必要」という考えを持っていた。そこで、相続人と密に連絡を取り合い、現地確認を行うことで、所有者(相続人)に遊休農地について問題意識を持ってもらうことができ、所有者による農地の復元作業に取り組むことになった。
 所有者は、初めて農業に携わるということもあって、地元の農業委員2人がアドバイスを行ったり、関係機関が機械を調達するなどの支援を行った。所有者は、毎日農地に通い、14アールほどの山林化した農地を2か月かけて復元させた。きれいに復元した農地は現在、菜の花が播種され、土壌改良を実施している。
 加藤事務局長は、「今回の解消事例によって、地元の人に少しでも耕作放棄地に対する意識を高めてほしい」と話す。
 農業委員会は、耕作放棄地の解消に非常に積極的だ。耕作放棄地が多い地域を把握し、その地域には年2回農地パトロールを行っている。「いつでも新しい考えをもつことが大事」という加藤事務局長。現在も、次の耕作放棄地の解消に向け、着々と作業が進められている。

写真上=復元前の荒廃農地(昨年5月8日)

写真中=所有者が機械で整地(昨年10月23日)

写真下=復元された農地(今年1月21日)