農地を活かし担い手を応援する 第2部 農地利用の最適化(39) 「一日女性農業委員会」

宮城・大崎市農委会

 農村での男女共同参画をすすめるため、全国に先駆けて地域の女性農業者が集うイベント「一日女性農業委員会」を開催してきたのが宮城県の大崎市農業委員会(鈴木悟会長)だ。
 担い手として活躍するも公の場に出ることの少ない女性農業者に集まってもらい、「日頃の悩みや課題を出し合い共有して、横のつながりも深めてほしい」と話す女性農業委員の高橋順子委員(58)。農業委員会活動を「見える化」するのも狙いだ。
 1999年の男女共同参画社会基本法の施行を機に始め、今年度で開催17年目。女性委員6人を中心に運営し、6月と12月の年2回開催する。
 「一日女性農業委員」に委嘱される参加者は9地区から選ばれた30〜60代までの女性農業者18人。さらに今年度は「将来の担い手に期待される農業高校の女子高生たちも呼びたい」という女性委員全員の数年越しの望みがかない、地元・農林高校で畜産と野菜コースを専攻する3年生の女子生徒4人も参加した。
 6月開催時は委員会の活動内容の説明からスタートする。おしゃべりが弾む昼食時間を経て、互いに打ち解けてきた午後が意見交換の時間だ。
 女性農業者の多くから出たのは「米価が年々下がって、農業経営をいつまで続けられるか不安」「後継者がいなくて困っている」など、厳しい経営状況を前に現実的で悲観的な意見の数々。
 だがそんな農業者らを前に、今年度初参加の女子高生らは声を上げた。「私たちは農業に夢を持っています。皆さんももっと夢と誇りを持ってください」。
 菅原ひろみ委員(65)は「会場にいた農業者全員が、その言葉にはっとしました。女子高生たちが、目の前の現実ばかり見ている自分たちに気づかせてくれ、活を入れてくれました。若い人たちとの交流は大事。今後も続けたい」と話す。
 2回目の12月は、1回目の「6次化に取り組みたい」との声を受けて、直売や農家民宿に取り組む女性農業経営者の講演をメーンに開いた。
 「今年度の参加者の多くが口にしたのが後継者不足の悩み。次は女性委員で婚活イベントを開きたい」と菅原委員。農業委員会が次に取り組む活動のヒントをくれるのもこのイベントだ。

写真説明=女子高生も参加して、活発な意見交換が行われた「一日女性農業委員会」