農地を活かし担い手を応援 農業者の声を市政に 高知県 南国市農業委員会

 南国市農業委員会(武市憲雄会長)では、地域の農業者の声を、農業施策や農業委員会活動に反映させるための意見の収集に力を注いできた。その取り組みの一つに建議・要望の業務がある。農業者の公的な代表機関としての重要な業務と位置づけ、隔年ごとに建議書を市長に提出している。

 改正農業委員会法では農地利用の最適化に関する施策改善意見の提出の機能が付与された。地域住民の参画を基盤にした地方行政を確立するために、新制度でも地域から選ばれた農業者の代表として、地域農業・農村の持続可能性を現場の力で高めていくための系統的な発信・提言活動が引き続き求められている。
 同委員会が直近で建議を行ったのは2014年9月。建議の実施に当たって、まず農業委員全員が担当地域の農業者から意見を聞き取り、それをもとに委員に対して「市長建議提案事項アンケート」を実施した。同時に、担い手の意見を取り入れるため認定農業者、新規就農者、認定就農者など約100人にも経営上の課題や10年後の農業への夢や目標についてアンケートを行った。
 その後、「調整会議」を委員8人で組織して、アンケートを内容ごとに集約・調整を図り、建議案へとつなげた。
 こうして積み上げ、取りまとめた建議では、地域の現状を再確認して、意欲ある農業者を掘り起こし、将来に希望を持って農業に従事できる環境の早急な整備が必要との観点から、基盤整備事業をはじめ新規就農者、集落営農組織、施設園芸農家、担い手育成への積極的な支援を求める内容となった。
 なかでも中心となった国営緊急農地再編整備事業については、大規模な基盤整備を行える最後のチャンスととらえ、農地の集約化や農作業の効率化をはかるため、「人・農地プラン」を活用したほ場整備区域計画を作成し、地元農家が主体的に同事業に取り組めるように支援を求めた。
 この他、同委員会では、担い手へ実施したアンケートで要望のあった若手農業者への支援制度研修会を3月3日に開催する。同研修会では昨今の農業をとりまく厳しい状況のなか、農業者にとって活用できる有効な制度紹介や意見交換を実施する。
 単に研修会を農業者への支援とするのではなく、意見収集の場として位置づけ、改正農業委員会法のもとでの意見の提出にもつなげる考えだ。

写真上=橋詰壽人市長(左)に建議書を手渡す市農業委員会の武市会長

写真下=建議内容を協議する農業委員