“新たな挑戦”始まる 集落越え利用調整 京都・京丹後市農業委員会「久美浜地域会議」

 京丹後市では、旧久美浜町の農業委員(5人)と農地利用最適化推進委員(10人)でつくる「久美浜地域会議」が町内の農業法人(11社)に呼びかけ、集落を越えて農地利用調整を行う「ネットワーク久美浜」を発足。担い手と共に「地域農業の課題」を考え、その解決に向けて行動する“新たな挑戦”が始まっている。

 「ネットワーク久美浜」の設立に動いたのは、京丹後市農業委員会の「久美浜地域会議」(代表=平林保信農業委員、友松尚文推進委員)だ。新体制に移行した同農業委員会では、毎月1回、合併前の旧町単位で農業委員と推進委員が集う定例会議を開催し、地域農業の課題解決に向けた話し合いを続けている。
 旧久美浜町では、中核的農家の高齢化や後継者不足によるリタイアにどう対応するかが最大の課題だった。3年前、三つの旧村(10集落)で水田17ヘクタールを耕作していた認定農業者が病気でリタイアし、急遽、集落を越えて耕作者を確保する必要に迫られた。そのときは、複数の農業法人に農地を引き受けてもらい、何とか不耕作地になるのを防ぐことができた。
 この経験から、近い将来、さらなる中核的農家のリタイアが予想されるため、地域農業と農地を守るための方法について久美浜地域会議で検討を重ねた結果、「広域的に農地利用調整を行う農業法人のネットワーク組織を立ち上げよう」と委員全員の意見が一致。同地域会議の農業委員・推進委員15人が手分けして農業法人に働きかけ、一昨年の12月に「ネットワーク久美浜」を発足した。
 ネットワーク久美浜では、その後、議論を重ね、集落を越えた広域的な農地利用調整のための「利用調整窓口の一本化」や「農地賃借料の統一」など、具体的な課題の解決に向けた検討が進んでいる。

 また、従来の個別相対の農地貸借では、受け手の耕作地が広範囲に分散し、作業効率が悪くなる状況が常態化していたが、ネットワーク久美浜で話し合うことにより、法人間で耕作地を交換して集約化する取り組みを始めている。
 同地域会議代表の友松推進委員は「農地の集約化を進めるには、コントロールタワーとなる利用調整組織の窓口一元化が必須」という。友松推進委員の友重集落では、農地を預ける際の窓口と耕作者への配分を担う組織づくりの検討が進んでいる。

写真説明=2月に開かれた久美浜地域会議の話し合い