人・農地プランに積極的に参画 岩手・矢巾町農業委員会

矢巾町農業委員会(米倉孝一会長)は、2018年4月に新体制に移行し、移行当初から「人・農地プランの積極的な参画」を活動の柱に掲げ、地域における人と農地の問題解決のため、プラン見直しの話し合い活動を積極的に行っている。

矢巾町は、遊休農地率0.07%、担い手への集積率81.2%あり、町として農地利用最適化推進委員を
置かないことを決め、農業委員16人で活動をしている。
同委員会では「農地等の利用の最適化の推進に関する指針」の中で、担い手への農地利用の集積・集約化に向けた具体的な推進方法として「人・農地プランの積極的な参画」を明記し、人・農地プランの話し合いに参加する人のリストアップと話し合いの進行役または進行の補助役を農業委員の役割としている。
プランは町内31地区で作成されており、委員1人当たり平均2〜3地区を担当している。農業委員がリストアップしたメンバーを中心に、同町産業振興課が話し合いの通知をする。
話し合いには、中心経営体と、今後中心経営体になってもらいたい人に声を掛け、参加を促している。米倉会長は「これまでは話し合いの先立ちを誰がやるのかが曖昧だったため、話し合いがもたれない地域もあった。今回、役割が明確になったことで話し合いをスムーズに行うことができた」と話す。
農業委員会および産業振興課が事務局を行う矢巾町農業経営体連絡協議会(※)では、2018年6月に産業振興課が行った「農業経営についての意向調査」の結果を受け、「農業をやめたい」と回答した者を対象に「農業経営の利用希望に伴う意向調査」を実施した。農業委員が直接聞き取り調査を行い、貸借・売却希望についての情報提供の可否を確認したうえで、該当する地区の話し合いに活用した。
同町の農業は、都市近郊型であり、開発が進む中で優良農地をいかに確保していくかが課題となっている。農業委員会は今後の話し合いに農地の出し手にも参加してもらい、離農者の農地を耕作放棄地にしない取り組みも進めていきたい考えだ。
米倉会長は「プランの話し合いをきっかけに地区の課題が明確になり、解決に向けた動きが出てきた。前向きで建設的な話し合いができた」と手応えを感じており「プランの実質化に向け、定期的な点検評価も必要だ。今後も話し合いの機会を設けていきたい」と熱く語る。
今回の活動を通じ、農業委員の使命感が高まるとともに、人・農地プランの話し合い活動にも主体性が出てきており、今後の活動が期待されている。
※町内の担い手の農地利用の最適化を推進することを目的として、農業委員会、産業振興課、JA、農業改良普及センターで構成

写真=地域の農地の現況図を囲みながら話し合いを行う