地域に密着した農地利用最適化 遊休農地発生防止へ 三重・東員町農業委員会

三重県の北部に位置する東員町では、約685ヘクタールの農地のほとんどが基盤整備され、平坦地の水田で米・麦・大豆を中心とした農業が行われているが、近年、担い手の減少、遊休農地の発生防止、農地の有効利用が課題となってきている。同委員会(石垣巽会長)は昨年4月に新体制へ移行したが、このような課題に対応していくため、今年1月に農業委員と農地利用最適化推進委員で構成する「地区協議会」を設置し、両委員が連携を強化して地域に密着した農地利用最適化を進めている。

同委員会の体制は農業委員14人と推進委員7人の計21人。新体制移行後、地区協議会や検討委員会を設置し、両委員が協力して地区ごとの課題に向き合い、農地の流動化を進めている事例を他県への先進地視察で学び、同委員会も地区協議会の設置を決めた。
地区協議会は、小学校区単位の「神田」「稲部」「三和」の3地区に設置し、代表を農業委員が、副代表を推進委員が務めるほか、必要に応じて自治会や農家組合、集落営農組織などを協議会委員とする。
地区協議会では、地区ごとの課題や問題の抽出、人・農地プランの作成、遊休農地の発生防止・解消などに加え、リタイアする高齢農家の情報把握を目的とした地区内農家の意向把握・アンケート調査の実施なども検討されている。また、農業委員や推進委員が日頃の活動で得た農地の出し手と受け手のマッチングに必要な情報共有の場にもなっている。
各地区協議会で話し合われた内容は事務局に報告され、事例を横展開する観点から、事務局から他の地区協議会にも共有される仕組みになっている。
また、同委員会では、農地パトロールの結果をもとに、遊休農地の荒廃の程度を色分けした地図を作成、推進委員が担当地区を見回る際に活用している。荒廃の程度の低い農地から優先して受け手を紹介するなど解消に取り組んでいる。
石垣会長は「新体制への移行後、農業委員と推進委員がどのように連携していくかが課題だった。農地利用最適化を推進していくうえで、新たに設置した地区協議会での話し合いや情報共有などを通じて、両委員が連携強化していければと思う。抱える問題は地区ごとで異なるため、まずは地区単位で十分に話し合ってもらい、優良事例は全体で共有しながら、将来的には町全体の問題解決につなげていきたい」と話している。

写真=左から東員町農業委員会の石垣巽会長、伊藤良子職務代理、事務局の仲田大介さん(産業課主幹兼産業振興係長)