両委員中心に放棄地解消 子供の体験畑に再生 滋賀・米原市農業委員会

米原市農業委員会統轄部会(田中美和子部会長、農業委員9人)は、耕作放棄された小さな畑を農業委員と農地利用最適化推進委員が中心となって再生し、近くのおうみ認定こども園の体験畑として活用する活動を行っている。

集落内の畑は、面積が小さく不整形なため担い手への集積が難しいことや地元農家の高齢化と後継者不足により、不耕作地になりやすい。加えて草が伸びれば、ゴミの不法投棄や害虫の発生などで集落の生活環境の悪化につながることから早急な解消が求められる。
同部会では、こうした小さな畑の解消対策の一つとして、当初は菜の花畑などを検討してきた。そうした中、解消に向けて具体的に動き出したのは、2015年度に地区担当だった西村光夫推進委員(75)が園長から体験畑の相談を受けたのがきっかけ。
ちょうどその頃、知人の橋本善雄さん(74)が耕作していた畑が、長期入院で荒れ出しており「気掛かりだった」という西村さん。橋本さんに声をかけたところ、園の体験農園にすることを快諾。再生には西村さんや橋本さん以外に他の地域の農業委員も参加し、2016年度から園の体験農園がスタートした。
現在、体験畑の広さは6アールと小さいが「保育士の目が行き届き、農業委員や推進委員と園児とのコミュニケーションも図れるので、ちょうどいい広さですよ」と同園幼児部の出口貴子園長は話す。
体験は、3歳から年長までの幼児部の園児が参加して、サツマイモの苗の植え付けと収穫に取り組む。その間の除草などの周辺作業は地区の農業委員が担当。収穫後には、園と同部会や他の部会および推進委員も協力して焼き芋パーティーを実施している。
こうした活動に地元農家も駐車場の提供など全面的に協力してくれている。また、初年度の収穫後、きれいになった畑を見た地元農家から野菜を作りたいと申し出があったことから、2017年度からは隣の遊休畑を解消して、体験農園とした。
「こども園の体験の場として遊休農地を解消したことが、結果的に地元に喜ばれてウィンウィンの関係が築けました」と田中さんらは話す。
同部会は他にも市内のこども園と連携しており、田中さんらは「今後も遊休畑をこども園の体験の場として活用し、解消につなげていきたい」と意欲を見せる。

写真=農業委員の指導を受けながら収穫する園児(2016年当時)