放棄地解消へ受託組織設立 神奈川・平塚市農業委員会

東地区を担当する受託組織の湘南ライスセンターのメンバー(右から2人目が佐藤会長)            

 平塚市では、全国的な傾向と同様に農家の高齢化、後継者不足などにより、耕作放棄地が年々増加している。2018年度調査時には農地面積1480ヘクタールに対して約16.7ヘクタール、全体の1.1%を占める状況だ。そこで、平塚市農業委員会(佐藤光夫会長)が立ち上がり、農業委員会、農政担当課、JA湘南が強力にタッグを組み、2018年12月に農地の草刈り作業受託組織を設立した。

 耕作放棄地の農地所有者からは「農地管理をどこにお願いしたら良いのか」「草刈りしたくても、高齢でできない」との声が多く上がっている。耕作放棄地が増加する要因の一つとして、農地を管理したくてもできない現状がある。
 そこで、地元の農業委員・農地利用最適化推進委員が中心となり、地域でスクラムを組んで草刈り作業の受託組織を結成した。市内の広い農地を一つの組織で管理するのは難しいと考え、東西南北で四つの受託組織を設立し運営している。
 対象は平塚市に所在する市街化調整区域内の農地。申し込みは各受託組織に直接依頼する他、JA湘南の各支所、農業委員会事務局でも受け付けしている。解消後は、希望があれば農業委員会のあっせんにより借り手を探し、耕作放棄地の再発を防止する仕組みとなっている。料金は10アール当たり8600円からで、草丈や使用する機械によって料金が変わってくる。
 予約の相談が徐々に増えている中、「地道な活動になるが、耕作放棄地を減らし、農地を最大限に活用して平塚市の農業を盛り上げたい」と佐藤会長は熱く語る。平塚市の貴重な農地を守るため、今日も地道な草刈り活動は続いている。

 耕作放棄地対策のため平塚市では、大磯町と二宮町とJA湘南の1市2町、1JAで協力し、湘南地域耕作放棄地対策部会を定期的に開催している。耕作放棄地対策の情報収集や調査研究、発生防止と解消、活用を進めることが目的だ。
 最近は、ヤギによる除草の実証実験や花摘み体験などを行っている。本年度は10月に平塚市の草刈り作業受託組織の視察を行い、効果について検証することとなっている。「他の機関と意見交換することで、新たな発見・刺激がある」と平塚市の担当者は話す。耕作放棄地ゼロを目指した取り組みに終わりはない。