経営相談通じて幅広い支援 くまもと農業経営相談所

専門家による支援

 2018年5月、熊本県担い手育成総合支援協議会(森日出輝会長)は、県農業会議内に「くまもと農業経営相談所」を開設。現在までに150を超える経営体の支援にあたっている。相談案件の対応のほかにも、農業経営者向けのセミナーを開くなど、くまもと農業経営相談所の幅広い支援活動を紹介する。

 開設から1年半。法人化や経営診断、雇用や労務管理、販路拡大など農業経営者が抱えるさまざまな課題に、専門家を派遣し、伴走型の支援をしているくまもと農業経営相談所。
 2018年度は、102経営体を重点指導農業者に指定し、81経営体の経営戦略方針を固めた。そのうち77経営体へ支援チームを派遣し、経営診断や税制上の相談などにあたった。その結果、意向が多くあげられていた法人化については15農業法人と1営農組織が誕生している。
 法人化を目指す認定農業者などを対象に開く「農業法人化支援講座」は、毎回多くの参加がある。税理士や社会保険労務士、中小企業診断士などの専門家による講義は好評で、講座への参加をきっかけに、相談所へ依頼し法人化した事例も少なくない。

 昨年度、県の委託を受けて県認定農業者連絡会議が行った認定農業者実態調査のアンケートでは、「後継者がいないことで農業経営の存続が危ぶまれる」という内容の回答が多かった。
 そこで同相談所は今年8月、県内の認定農業者を対象に経営継承をテーマにセミナーを開き、早めに事業計画を立て経営継承に備えることを提起した。
 本年度行っている同調査の途中集計では、同相談所の利用希望が既に150件近く寄せられている。現在、事務局では支援すべき経営体の洗い出しを行いながら、要望に添った支援の準備を進めている。
 同相談所は今年、農業者の多様な要望に応えるため、県よろず支援拠点や中小企業診断士協会とも包括協定を結んだ。さらに、中小企業診断士を専門家コーディネーターに追加。相談内容の聞き取りによる課題の抽出や経営診断、支援の方針の作成などを充実させている。
 今後、さらに関係機関や専門家と連携しながら、経営改善に向けたきめ細やかな支援を行い、認定農業者など地域農業の担い手を支援していく。