自らで地域の農地守る 奈良・山添村農業委員会

 奈良県の北東部に位置する山添村農業委員会は、2017年に新体制に移行し、農業委員14人、農地利用最適化推進委員10人の合計24人で活動を行っている。同村では、茶を中心に冷涼な気象条件を生かした野菜などを栽培しているが、全国的にも問題となっている担い手の減少や高齢化、鳥獣害により遊休農地の増加が課題となっている。

農業委員、推進委員が解消した農地で作業

 山添村農業委員会(井岡正守会長)では、解消した遊休農地を委員自らがモデル圃場として活用し、ミョウガの栽培を行っている。
 ミョウガは、手間が掛からないうえ、日陰でも栽培できることから、農業委員会による遊休農地解消活動の作物として導入し、普及にも力を入れている。
 活動の結果、地域ではミョウガ栽培を行う農家が、20人まで増えており、昨年度からは、村としてもさらなる普及につなげようと、苗代の半額を補助している。
 また、地域住民の目に入りやすい道沿いの遊休農地を選定して看板を設置するなど、農業委員会による解消活動を農業者や地域住民にアピールすることにも力を入れている。
 将来的には遊休農地の解消のみならず、地域の特産品としても普及を進めていきたい考えだ。
 遊休農地のうち、森林や原野となっているなど、どうしても利用することが困難な農地については非農地判断を進めている。昨年は、7.8ヘクタール、今年も約8ヘクタールの非農地判断を実施する予定だ。

農業委員、推進委員が参加した昨年の人・農地プラン作成の様子                       

 同村の農業委員ならびに推進委員はこれまでも地域の話し合い活動に関わってきたが、人・農地プランの実質化や作成にあたり、農家の意向を把握するため、委員が担当を決めて農家からアンケート用紙を回収している。以前は郵送で行っていたため回収率が悪かったこともあったが、委員が戸別訪問することにより、回収率も上がるようになったという。 
 井岡会長は「アンケートにより明らかになった農家の意向を明確に反映させたプランの実質化を図ることが重要。これを基礎にして、将来に向けて村の農地を守っていきたい」と思いを語る。