農地を活かし担い手を応援する 担い手への農地集積を推進 岩手・岩手町農業委員会

遊休農地発生も抑制

 改正農業委員会法が施行され、農地などの利用の最適化の推進が、農業委員会の最も重要な業務として位置付けられた。岩手県の岩手町農業委員会(松本良子会長、農業委員19人)は農地ナビの情報充実・強化を図り、担い手への農地集積と遊休農地の解消対策に力を注いでいる。

 岩手町は、岩手県の北部に位置し、東北一のキャベツなどの露地野菜、葉タバコ、水稲のほか、酪農など畜産も盛んな地域だ。
 農地の多くは中山間地域にあり、地理的条件は決して恵まれていないが、担い手への農地の集積率は43%で、遊休農地も少ない。農業委員会が中心となって規模拡大意欲の高い野菜農家や酪農家への集積を進めてきた成果だ。
 農地の利用状況調査は、農地パトロール月間の7月に集中的に実施している。1人の農業委員が受け持つ農地面積は300ヘクタールに上る。広大な面積だが、日頃から担当地区の農地の耕作状況を把握していることから、利用度の低い農地について現地確認し、活用について地権者と協議し進めている。
 国は、農地中間管理機構による農地集積・集約化を進めるため、全国農地ナビ(農地情報公開システム)の整備を進めているが、岩手町では、農地台帳データ整備のための農家調査と併せて、「経営意向」を調査した。農家台帳登載の2599戸を調査し、1300戸の回答を得て、全国農地ナビ第2フェーズの稼働を前に、このデータを活用している。
 農業委員全員が担当地区の情報を常備するとともに、「農業委員会だより」に主だった農地情報を公開した。
 今年度はこの情報を踏まえ、町内の酪農、畑作地帯の上浮島(かみうきしま)地区で農地中間管理事業を導入する。
 農業委員会の松本会長は「利用状況調査や農委だよりなど活動の『見える化』により、これまで以上に相談が寄せられている」と農家の関心の高まりを感じている。
 農業委員の活動の中で、女性農業委員の活躍も見逃せない。女性特有の柔らかな物言いと、農業者にヒシヒシと伝わる使命感が効果を上げているという。松本会長は、県内で唯一の女性の会長だ。
 「畜産、園芸、水稲のバランスの取れた岩手町農業を持続させるため、農業委員会は農地利用の最適化で、その使命を果たしていかなければならない」と松本会長は意気込みを熱く語った。

写真上=岩手県独自の取り組み「農地の日」にパトロールをする農業委員

写真中=農業委員会だよりで農地情報を公開

写真下=農委活動での女性の活躍は見逃せない(左から3番目が松本会長)