明日につなぐ(40) 山梨県女性農業委員の会代表 春田 美子さん

 2014年に山梨県笛吹市の農業委員となり、現在2期目を務める春田美子さん。以前は美容院を経営していた。美容師としての仕事の手が空く時期には、夫の両親の農作業を手伝うこともあった。
 約15年前に夫が勤め人をやめて実家の果樹園を引き継ぎ、春田さんも2017年に美容院を廃業してからは農業に専念。現在は夫婦二人三脚でスモモやインゲンマメなど、果樹や野菜を生産している。
 委員活動の中で、感謝を伝えたい人は夫と同市農業委員会の赤岡勝廣会長だと話す。農業委員になった当初、地元にごみ処理施設が建設されることになり、毎月のように農地転用の案件が発生していた。「現地調査が多く大変な時期を会長が支えてくれた」と感謝を口にする。
 春田さんのもとには「農地を借りてほしい」「土地を見つけてほしい」などの相談が日々寄せられる。「脚立に登れないなどの理由で果樹生産を断念する農家が増えてきた」と地域農業の存続に危機感をにじませる。
 こうした中でも、年配の農家がひたむきに直売所へ出荷し続ける姿を見て、「少しでも役に立てば」と地域の作物を使った料理を地域住民に伝える活動を行っている。
 最近では、地元の農家とグループを結成し、甲州みそづくりを行っている。春田さんは、材料となる青大豆の作付けについてアドバイスするほか、食品衛生責任者の資格を自ら取得し、加工場での作業にも積極的に携わっている。
 山梨県女性農業委員の会の代表も務める春田さんは「地域によっては、いまだに1人の女性が長く農業委員を続けることが難しい雰囲気がある。こうした慣習を打破したい」と女性の積極的な登用に向けた活動にも意欲を示す。