農年推進へJAとタッグ 農業者の信頼得て加入に実績 北海道・共和町農業委員会

 共和町農業委員会(今村俊一会長、農業委員20人)はJAきょうわと連携して、農業者年金業務をすすめている。円滑な業務処理を徹底することで、制度に関する加入者・受給者からの信頼を深めつつ、加入推進で実績をあげている。

 午前8時30分、出勤してきた農業委員会事務局農地係の佐藤圭介さんはパソコンの電源を入れる。最初にアクセスするのは、町の住民基本台帳システムと(独)農業者年金基金が運営する「記録管理システム」だ。
 住民基本台帳システムにアクセスし、死亡の届け出があった住民の名前を一人ずつ「記録管理システム」で検索して、受給者などの死亡の有無を確認する。
 「農業者年金の業務は多岐にわたるため、日々の業務を着実にこなしていくことが大事。加入者・受給者の情報をJAなどの関係者と共有することで、年金の過払いなどを少なくして業務を円滑にすすめるようにしている」と佐藤さん。
 死亡の情報をあらかじめつかむことで、受給者の遺族からの問い合わせへの準備をし、必要に応じてJAの担当者と連絡を取り合って対応を協議する。佐藤さんはこの二つのシステムを利用した確認を、出勤直後と退勤前の1日2回、必ず行っている。
 また、農地台帳システムには、経営移譲・経営継承の対象農地であることを入力し、売買や転用の相談があった際には年金の支給停止の要件を説明して、受給者などへの制度への理解を深めている。

左から今村会長、佐藤さん、新規加入申し込みをする新井委員                        

 農業委員会では、地区担当の農業委員と事務局職員にJA職員が加わって戸別訪問を実施し、農閑期の冬期間を中心に加入をすすめている。
 2015年までは町内17カ所の地区会合の場で加入をすすめていた。2016年に開かれた北海道農業会議主催の研修会で、他の市町村は戸別訪問による加入推進で実績を伸ばしていることを知り、対象者名簿をもとに、若い世代の農業者を重点に絞り込んで戸別訪問を行っている。
 夜に訪問するなど相手の都合に合わせる他、他の年金制度についての質問にも答え、納得して加入してもらう努力を欠かさない。その結果、本年度は1月までに7人が新規加入した。
 今年1月に新規加入した新井裕之さん(34)は、2014年に父親から経営移譲を受けて経営主となった。経営の内容を把握する中で、「農業者年金保険料の全額が社会保険料控除となることに魅力を感じた」と語る。
 新井さんは昨年4月に農業委員に就任した。これまでの複数回の戸別訪問では加入に至らなかったが、「農業委員として加入を勧める立場になったのも加入の理由の一つ」と話す。
 今村会長は「政策支援や保険料の社会保険料控除など、農業者年金は農業者にとって魅力ある制度。旧制度へのわだかまりを持つ人はいるが、新制度の特色を伝えて積極的に加入を勧めたい」と決意を新たにした。