農地情報公開システム利用拡大へ 完全移行の霧島市農委会を手本に 鹿児島県農業会議

 鹿児島県農業会議は1月22日、霧島市で「農地情報公開システム(=公開システム)」活用の先進事例を横展開するため研修会を開催。県内の8農業委員会から事務局職員25人が参加した。

8市町が受講した研修の様子。「実務に沿った内容で参考になった」と好評だった               

 この研修会は、各農業委員会が従来整備した「農地台帳システム(=既存台帳)」から、県内でいち早く全国共通の公開システムに完全移行した霧島市農業委員会(槐島睦夫会長)の活用事例に学び、県内で広く活用拡大を図ることが狙い。
 参加者は、既存システムを提供する業者がシステムの管理から撤退したり、近日中に公開システムへ関係データの入力や転送を行う意向を持つなど、公開システムへの対応が急務となっている農業委員会などの職員だ。
 研修では、霧島市農業委員会の職員が、農地法3・4・5条や利用権設定などについて、申請受付から農業委員会総会の議案処理までの入力方法を紹介。また、議案書として使うための加工方法や議案書への反映を考慮した備考欄などの記載、検索時の便利な機能を使った業務での工夫を披露した。
 パソコンの単語登録機能を活用した事務の省力化など、日常的にシステムを活用している担当者ならではの助言が随所に盛り込まれ、農業委員会での実践的な活用が理解されやすい内容だった。
 参加者は熱心にメモを取り、「実務に沿った研修内容で参考になった」と話す。農業会議では、来年度も同システムの利用拡大を目指し、同様の研修を強化する予定だ。

 一方、公開システムへの移行が遅れている農業委員会もある。これらの農業委員会では、一つの議案を両方のシステムに2度入力する“二重管理”を行っている。
 このため、全国農業会議所ではRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)技術を用いて、既存台帳に入力したデータを、簡単な操作で自動的に公開システムに取り組む実証実験を本年度より開始。同県では、いちき串木野市農業委員会が実証実験に参加しており、今後の成果に期待が寄せられている。
 農業会議の担当者は、「使い慣れたシステムで業務を継続しつつ、一度の入力で最新データを公開システムにも反映できる利点は大きい」と話す。
 農業会議では、これらの方策を活用し市町村農業委員会の実情に応じた公開システムの利用拡大を呼びかけている。