県・団体と連携し農委会支援 プラン実質化へ大会や研修会開く 静岡県農業会議

 静岡県農業会議(黒田淳之助会長)では、県や農業振興公社など県内の農業団体と連携しながら、人・農地プランの実質化に向けた総決起大会の開催や、実際に現場で話し合いを進めるコーディネーター育成の研修会を開くなど、農業委員会の取り組みを支援している。

参加者全員で「ガンバロー」を唱和(中部地区)

 農業会議は昨年8月、人・農地プランの実質化に向け、県、県農業振興公社(中間管理機構)との共催で、農業委員・農地利用最適化推進委員などを対象とした研修会を開いた。
 県内3地区で延べ690人が参加し、茨城県東海村農業委員会の元事務局長の澤畑佳夫さんから地域の話し合いの進め方などについて研修を受けた。「遊休農地の解消は治療。まずは予防が大事。そのために意向調査をする必要がある」「合意形成には、満足とまではいかないまでも納得してもらうことが大事」「対応を怠れば大きな付けとなって返ってくる」など、実際の現場経験を踏まえた話に参加者は熱心に聞き入っていた。
 当日行われたアンケートでは「地域農業の未来を考える意味で大変重要であり、共感できた」という意見や「地域の現状を把握した上で話し合いを行っていきたい」などと前向きな意見が多かった。
 この研修会は人・農地プラン実質化に向けた総決起大会としての位置づけもあった。最後には、関係者全員が一丸となって取り組んでいくため、参加者全員で「ガンバロー」を唱和して士気を高めた。支援に全力をあげる。

1月に行われたファシリテーション研修会

 今年1月には、澤畑さんが地域の合意形成を得るために現場で実際に使っている「ファシリテーション」の知識や技能を学ぶため、農業委員会事務局職員や市町の人・農地プラン担当者などを対象に2日間の研修を行った。
 (一社)会議ファシリテーター普及協会の釘山健一代表と小野寺郷子副代表を講師に、小グループに分かれて実際にそのスキルを体験した。釘山代表は「会議の雰囲気によって出る意見が変わる。明るく楽しい雰囲気で会議をすることで前向きな意見が出る」「一部の人だけでなく、みんなで成功させるんだという雰囲気を作っていくことが大事」などと話し、受講者からは「すぐに、地域の話し合いで使ってみたい」などの声が聞かれた。
 同県の人・農地プランの実質化の予定面積は約3万ヘクタール、全農地の50%だ。中山間地域は担い手が少なく、人・農地プランの実質化が難しいが、受け手が不足する地域こそ、将来方針を明確化しておく必要がある。県農業会議の麻里均事務局長は「農業委員会の使命は、今、耕されている農地を耕せるうちに、耕せる人へバトンをつないでいくこと。そのための第一歩は、人・農地プランの実質化」と話し、農業委員会の支援に全力をあげる。