明日につなぐ(42) くまもと農業委員会女性委員の会会長 福嶋 求仁子さん
熊本県合志市の農業委員として現在5期目を務める福嶋求仁子さん。今期からは会長職も務めている。
「地域の農業と農家の役に立ちたい」と精力的に委員活動を継続する福嶋さんの原点にあるのは「地域愛」だ。「これまで地域の皆さんに育ててもらった。少しでもその恩返しがしたい」と熱く語る。
実家は同市で米と葉タバコを生産する農家だった。高校卒業後、夜間の大学へ通いつつ、一般企業に勤務し、結婚を機に退社。転勤の多い夫に付き添い、全国を移動した。
母が他界した数年後に父が病で倒れ、夫に単身赴任をお願いして、子供たちとともに帰郷。その半年後、父が亡くなった。季節はちょうど田植えの時期だった。
父が育苗作業の途中で亡くなったため、近隣の農家に手伝ってもらいながら、田植えをした。それが農業を始めるきっかけになった。現在では、定年を迎えた夫とともに1.4ヘクタールの畑で夏はアスパラガス、冬はネギを中心に生産している。
同委員会では女性の登用促進にも積極的に取り組んでいる。現在、14人の農業委員のうち女性が4人を占め、会長と職務代理を女性が務める。「職務代理は、私が悩んだり迷ったりすると、そっと助言してくれる」と頼れる存在に感謝を口にする。
昨年7月には、6年間ほど休眠していた同県の女性農業委員組織が活動を再開した。福嶋さんが会長を務め、今年2月には一部ワークショップ形式を取り入れた研修会を開催。特に中立委員の参加者から好評だったという。
福嶋さんは「1期だけでは学び足りない。委員として地域の信頼を得るためには、最低でも3期は続けてほしい。継続こそ力です」と女性の委員に呼び掛ける。