行動する農委会へ 町民からも厚い信頼 鳥取・琴浦町農業委員会

 県中部の農業どころ琴浦町は園芸作物や酪農の盛んな町。同町農業委員会(福田昌治会長)は、「行動する農業委員会」を目標に掲げ、担い手・遊休農地対策などの取り組みを行う。町民からも信頼が厚く、県内外から農業委員会の視察も多い。

遊休農地の再生作業に励む農業委員たち
福田会長

 同委員会は、2015年の農業委員会法改正以前から、県内で唯一、認定農業者が委員の過半数を占めていた。定例総会でも活発な議論が交わされ、委員一人一人が考えて実践する農業委員会となっている。
 委員会の議論を通じ、(1)担い手対策では、これまでの10年間で9組が結婚した「婚活イベント」(2)遊休農地対策では、栗(ポロタン)9ヘクタール、2896本の植栽と販売促進(3)全農地のうち面積ベースで約9%が相続未登記と判明した農地調査――など、他に先駆けて実践してきた。
 昨年6月には何とかしてほしいと委員会事務局に相談が寄せられていた所有者不在の遊休農地約2200平方メートルを農業委員自らが再生することを快諾。同委員会で所有者に意向を確認し、7月から11月にかけ、草刈り、ハウス撤去、防風ネット撤去などの作業をした。
 12月の総会では、残った再生作業を農業委員と農地利用最適化推進委員に呼びかけ、14人が賛同。来春の作付けに向け、大型機械を使用した抜根やゴミ回収、耕起を行って農地として再生した。
 この農地は農業委員の仲介により農地中間管理事業を通じて担い手へ集積することも決定した。

 農地利用の最適化と人・農地プランの実質化が叫ばれる中、県内では市町村にチーム会議を組織。同町でもJA、土地改良区、農地中間管理機構、県、町、農業委員会が連携して協議する場を設けている。農業委員もその場に参加し、地域の実情を伝えるとともに、地元でのアンケート調査を行うなど、具体的な動きが始まった。
 集落の会合には農業委員と推進委員が率先して出向いているが、これも従前からの日常活動で素地(そじ)ができているたまものだ。この活動により、担い手への集積も比較的容易に可能となっている。

町議会との意見交換会

 2008年7月に就任した福田会長は、「行動する農業委員会」を掲げた中心人物。常に他の委員をリードしてきた。「人があってこその農地であり、地域。あせらず、あきらめず、一歩一歩農家のために努力するのみ」と熱い思いを語る。