MY STYLE 牧場手づくりチーズが大好評 北海道大樹町 半田ファーム

チーズ工房の2階は喫茶コーナーと売店

 酪農の町、北海道大樹町の(有)半田ファームは、畜産6次産業化先進地の北海道でもいち早くチーズ加工に取り組んだ牧場だ。牧場手づくりのチーズは、地元のほか札幌と東京のデパートなどでも販売。町のふるさと納税返礼品でも人気で、ファンは全国に広がっている。経営を支えるのは社長夫妻と、海外経験の長い3人の子供たちだ。


 社長の半田司さん(69)は、道内で人工授精士として働いた後、1979年(昭和54)に後継者として就農した。搾乳牛頭数は道平均を上回る40頭ほどだったが、半田さんは積極的に規模拡大を進めた。だが、1980年代半ばから乳価が下がり始め、生乳の生産調整も始まった。
 1990年代に入り、半田さんが下した決断がナチュラルチーズづくり。当時、国内では大手乳業メーカー以外ではほとんど製造されていなかったが、北海道ではナチュラルチーズ振興会が結成されるなど、機運が高まりつつあった。
 これらの場で技術を学んだ半田さんがこだわったのは個性。地域に存在する微生物や牧草などの環境と調和したチーズづくりだ。技術のめどが立った1996年、牧場の一角にチーズ工房を建設し、喫茶コーナーと売店も併設した。
 現在、搾乳牛の飼育頭数は約200頭となり、乳量の1割を加工に回している。その後始めたソフトクリームとヨーグルトも人気で、夏場には大勢の客が牧場を訪れるようになった。
 最初につくったチーズはウオッシュタイプの「チモシー」、セミハードタイプの「オーチャード」、ハードタイプの「ルーサン」の3種類。いずれも牧草の名前で「牧場のチーズ」をアピールしている。品質の評価は高く、中央酪農会議のコンテストで何度も優秀賞を受賞した。
 新たな試みも始めている。みそ床の中で半年間熟成させる「熟成チーズみそ漬」は漬物会社との共同企画で、酒のつまみやお茶漬けにも合う。池田町の十勝ワイン「清見」の搾りかすに漬け込んで熟成させる「池田清見ワインのかす漬」も人気だ。
 販売は、各地で行われる物産展に積極的に出展。ここから小売店などとの契約が広がり、現在販売している店は十勝管内の道の駅など4カ所のほか、札幌市に2カ所、東京にも2カ所ある。町のふるさと納税返礼品でも、急速に売り上げを伸ばしている。
 同ファームを力強く支えるのが国際派の3姉弟だ。家畜商部門を担当する長女の道奈さん(36)は米国の酪農場で3年間勤務。牧場を担当する長男の佑介さん(30)は馬術関連でアイルランドに4年間滞在した。チーズ部門を担当する次男の康朗さん(27)はフランスで4年間修業し、上級技術者免状の「BTS」を持つ本格派だ。
 販売管理などを担当する芳子さん(66)は「うちのチーズは季節ごとに変わる。自然の味を楽しんでもらえる」と話す。