天敵製剤でナシのハダニを防除 群馬県農業技術センター

ミヤコバンカーを設置した木。「草生管理も重要」と話す谷口高大技師。円内は、ハダニ類を捕食するミヤコカブリダニ                        

 群馬県農業技術センターはこのほど、ナシに被害をもたらすハダニ類の防除に、天敵のミヤコカブリダニ製剤を利用する防除体系を確立した。カブリダニ類に影響の少ない選択性殺虫剤を使い、土着を含む天敵のすみかとなる下草(温存植物)も管理することで、栽培期間を通じてハダニ類を低密度に抑制できる。

 同県では夏場の高温期に発生するハダニで落葉被害が広がっているが、化学合成農薬は抵抗性が発達して効果が薄れている。
 製剤は「スパイカルプラス」(1パック当たり50頭)と「ミヤコバンカー」(同100頭)を使用した。ミヤコカブリダニとエサ、ふすまを封入し、パックで保護した資材で、高温や乾燥など不適な環境の影響を受けにくく、定着性が高い。
 天敵製剤導入後の化学合成農薬は、天敵に影響が少ない殺ダニ剤の「カネマイトフロアブル」と「ダニコングフロアブル」を使った。
 5月に殺ダニ剤を散布し、ハダニ類の密度を可能な限りゼロにした上で、6月上旬を目安にナシの樹上に製剤を設置する。設置数は、1本当たりスパイカルプラスは1~5パック、ミヤコバンカーは2~5パック。
 設置後、天敵がナシの葉上で定着する7月上旬までの約1カ月間はハダニ類の発生に注意し、発生した場合には直ちに殺ダニ剤を散布する。ハダニ類は、油断すると急激に増殖するため注意が必要だ。7月中旬以降は、ハダニ類が発生したら県の要防除水準(1葉当たり2頭)を基準に殺ダニ剤を散布する。
 もう一つのポイントが草生管理だ。樹園地の下草には土着のカブリダニが生息しており、製剤にとっても花粉などがエサになる。ナシ樹上へのハダニの移動を防ぐ意味もある。
 同センターでは下草は、薬剤散布機(スピードスプレイヤー)の通路となる部分だけ刈り、木の下回りと樹間は刈らずに残した。