FRONT LINE 「都会の梨屋」守り続け150年 神奈川・川崎市多摩区 松屋梨園

20品種の梨を栽培する香山成夫さんと、販売に力を入れる真由美さん                    

 神奈川県川崎市多摩区の松屋梨園は、多摩川近くの畑で梨を育てて150年。5代目の香山成夫さん(55)は、和梨・洋梨合わせて20品種を栽培。購入者から「懐かしい」「珍しい」と喜びの声が寄せられている。

 松屋梨園の香山さん夫妻は、府中街道に面した自宅の前で、7月末~10月初旬直売を行っている。
 香山さんの梨暦は、7月下旬の「あけみず」に始まり、8月下旬の「豊水」、9月中旬の「新高」と続き、10月末に収穫する洋梨の「ル・レクチェ」を追熟させて販売し、年末に幕を閉じる。
 中には戦前に育種された「八逹(はったつ)」、隣接する稲城市の梨農家が育種した「清玉」など、希少な品種もある。ル・レクチェは、個人客や洋菓子店からの注文が多い。その数20品種。いずれも父の恒夫さん(84)が早くから導入し、育ててきたものだ。栽培面積25アール。宅地に囲まれた畑で、手間を惜しまず、さまざまな梨を育てるのはなぜか?
 「同一品種を同時に育て、一気に全滅するのを避けるリスクヘッジです」
 成夫さんは、18年間包材メーカーに勤務した後、就農。システムエンジニアの経験をもつ妻の真由美さんは、4年前にホームページを開設。自園で栽培する20品種を紹介したところ、注目が集まり各地から問い合わせや注文が増えた。
 「珍しい、懐かしい、食べてみたい。そんな声が多いですね。妻には感謝しています」(成夫さん)。