農薬効かず 露地で土着天敵広がる

 農作物防除での天敵利用が拡大している。害虫の薬剤抵抗性の高まりで、化学合成農薬が効きにくくなっているためだ。総合的病害虫管理(IPM)の主要な手法と位置づけられ、取り組みが早かった施設栽培に加え、露地栽培でも行われるようになった。注目されるのが低コストでできる土着天敵の利用。より効果が高い市販製剤との「W天敵」も始まった。

 徳島県立農林水産総合技術支援センターは、ナスの害虫であるアザミウマの防除に、土着天敵のタバコカスミカメを利用する技術を確立し、取り組みが広がっている。
 同県では露地栽培と施設栽培を組み合わせる作型が多いが、天敵温存植物のゴマをナスの圃場に植え、栽培終期に天敵を捕獲して露地→施設→露地へと移すことで周年利用する「ゴマまわし」だ。
 ゴマはナスの畝の端と株間(10株ごと)に定植する。タバコカスミカメはゴマの葉を好む雑食性で自然と集まってくるが、枯れ始めるとナスに移りアザミウマを捕食する。ゴマは2~3カ月で枯れるため、露地栽培で1~2回と施設で1回植える。
 施設では土壌消毒などが完了する8月中下旬頃、空きスペースに植える(10アール約100株)。20センチほどに成長したら露地で採取したタバコカスミカメを放飼する。採取は、ゴマの先端部を切り取って株元に置くだけ。大型カメムシなどを施設に入れないよう、玉ネギ用ネットなどに入れる。
 ゴマは冬には枯れるため、クレオメも空きスペースに植える(10アール約50本)。春季にはこぼれ種から発芽したゴマにタバコカスミカメが大量に発生するため、同じ方法で露地の株元に置く。
 アザミウマ以外の害虫防除には、タバコカスミカメに影響のない薬剤を使う必要があるが、通常、露地で8回程度行うアザミウマへの薬剤散布はゼロ。中野昭雄副課長は「薬剤が効きにくい現状がある上に、コスト削減と労力軽減の効果は大きい」と話す。