シルバー人材センター 独自事業で農業に参画

直売所「ねんりんの里本店」は会員や地域住民の憩いの場

 近年、シルバー人材センターが「独自事業」として農業分野に参画するケースが増えている。農作物の生産にとどまらず、直売所や加工所を独自に設置した6次産業化の取り組みや、地域住民を対象とした「体験型農場」の運営など、特色ある事業も数多く見られる。

 2019年3月末現在、全国のシルバー人材センター数は1299(法人数)。会員数は71万3640人(男性47万5120人、女性23万8520人)で、日本の60歳以上の人口の約2%を占める。
 「独自事業」とは、発注者からの請負や受託で行う事業ではなく、シルバー人材センターが自ら立ち上げ、会員や職員が主体的に企画実施する事業だ。ここ数年は農業関連の独自事業を実施するセンターの数が増えている。

 福井県の(公社)大野市シルバー人材センターは、2018年度の独自事業の収入が約5500万円で、全国第2位の実績。同センターによる15の独自事業の中核を担うのが6次産業化の展開を図る「ねんりんグループ」事業だ。
 その拠点となるのが、2002年に開設した直売所「ねんりんの里本店」。毎朝、会員が自ら作った野菜や山菜などを持ち込む。農作物を栽培する会員は約200人で生産規模は大小さまざまだ。直売所の奥スペースに併設した喫茶コーナー「ねんりんの里キラリ」では、直売所の野菜を使った総菜や軽食を提供している。スタッフは会員がシフトを組み、交代で就業している。
 同センターは、2009年に県の補助金を活用して集荷車両1台と専任職員を配置した。運搬手段を持たない会員などからも野菜を集荷できるようになった。直売所や加工場の物流も支える貴重な存在だ。2014年度には廃校になった小学校の給食室を同センターが市から借り受け、「蕨生加工場」を設置。ふるさとの味を後世に伝えるため、地場野菜を使った総菜、漬物、みそなどの加工食品を製造する。
 同センターの山田歩弓事業課長(54)は「独自事業は会員にやりがいを感じてもらうための場所作りと地域への貢献が目的。利益重視ではないため、事業継続が困難になることもあるが、失敗してもそれを次に生かしている」と前向きだ。