鳥獣害対策にもドローン 活躍めざましく効率化に期待

 農業界でドローンの活躍がめざましい。農薬散布や農作物の生育調査、播種などさまざまな農作業の効率化で期待を集めているが、鳥獣害対策の現場でも活用が進みつつある。ドローンを効果的に鳥獣害対策に採り入れるにはどんな方法があり、どんな注意点があるのか。実際に活用している例を交えて紹介する。

上空から地域を俯瞰できるドローンは集落環境調査にうってつけだ            

 神奈川県が設置するかながわ鳥獣被害対策支援センターでは、対策の第1段階となる集落環境調査にドローンを活用。目視だった現地調査を大幅に省力化した。集落の状況が白地図に比べて視覚的に分かりやすくなり、地域課題の把握にも役立っている。
 県内の農作物の被害状況をみると、ここ 5年はイノシシを筆頭に、アライグマ・ハクビシンなどの中型動物やカラス・ヒヨドリなどの鳥類による被害が多い。森林や住宅への被害も問題化。これに歯止めをかけるため、2017年に同センターが発足した。
 同センターでは住民や市町村が地域ぐるみで対策を進めるための体制づくりの支援に力を注ぐ。まず取り組むのが集落環境調査だ。被害農地の他、獣道や耕作放棄地などの被害要因、柵・罠などの対策の状況を明らかにする。地域に合った対策のために重要だが、目視では時間と労力がかかるのが難点。そこでドローンによる空撮に目を付けた。
 調査には小型のドローンを使う。航路を設定して自動操縦で飛ばし、撮影画像をつなぎ合わせて地区全体の空撮画像を作成。農地の利用状況はもちろん、農作物の食害痕やイノシシが掘り起こした痕跡なども確認できるという。
 従来は3ヘクタールほどの範囲を見て回るのに約4時間、さらに調査結果を白地図に落とし込む作業に約4時間を要していた。ドローン導入後は空撮が約10分、画像結合ソフトによる処理が約2時間と、劇的な負担軽減につながった。
 同センターの江口千津子主査は「地域の課題を客観的に見える化できることが最大のメリット」と強調する。地域の勉強会などでは空撮画像を印刷して共有。耕作放棄地の解消や侵入防止対策の強化など、活動計画の検討に役立てている。調査を実践した地域の一つ、相模原市名倉地区の野崎好夫さん(67)は「地域の現状を細かいところまで俯瞰(ふかん)できた」と話す。
 制約も少なくない。常緑樹林やササが多い場所だと画像が不鮮明になるため、撮影時期を考慮したり目視やセンサーカメラなどで補完したりする必要がある。現状では電池が短時間しか持たず、一度の撮影範囲も限られる。高低差のある複雑な地形では衝突の危険があり、自動操縦が難しいことなども課題だという。
 同センターでは動物の出没状況の把握などにもドローンを活用している。江口主査は「地域ぐるみの対策といっても、何から始めればいいか分からず悩む地域は多い。鳥獣害対策を考えるための一つの手法として、ドローンを活用していければ」と語る。