経営のバトンを次世代に(13) 畜舎を継承し整備、マッチングへ 長崎県・JAながさき県央

 長崎県の5市町を管内とするJAながさき県央は、JAグループの独自事業を活用して畜産農家の経営継承を支援する。同事業では地域のJAが離農する畜産農家の経営を一次的に継承し、畜舎や農機を補修・改修。就農希望者や規模拡大を希望する農家とマッチングし、営農環境を整備した上で引き渡す。同事業ではJA全国連の拠出を財源に、各JAが継承を目的に実施する畜舎の整備費などの一部を支援する。

「経営継承を進める国の支援が必要」と話す前田さん(中央)と同JAの職員                  

 同県諫早市の前田信久さん(58)は2015年に、同JAの支援を受けて地域の農家から牛舎や農機を継承した。肉用牛の繁殖雌牛で、現在は成牛32頭を育てる。牛舎には自宅から車で5分ほど。
 前田さんは農外の企業に勤めながら5頭ほどの牛を飼育する兼業農家だったが、約20年前に専業農家になることを決意。収入を確保するために牛を約10頭に増頭した。しかし、牛舎の設備が機械化などに対応できず、飼養管理に多大な労力がかかっていた。さらなる増頭を目指していたが、当時の設備では難しい状況だった。
 同JAは、同時期に近隣の畜産農家の近々の離農を把握していた。前田さんの規模拡大の意向がこれに合致したため、同事業を活用した経営継承を提案。職員が離農する農家の家族会議に複数回参加するなど、信頼関係に基づく働きかけで継承に結びつけた。

 同JAは2014年に牛舎を一次的に継承し、約半年かけて設備を補修・改修した。壁や屋根、堆肥の積み込みに使うショベルローダーや巻き上げ式のカーテンなどの機材を修繕し、牛舎内は職員総出で掃除した。
 繁殖牛15頭も同JAが導入。妊娠牛を入れて、前田さんが引き継いだ後に早く収入が得られるよう配慮もした。