列島最前線 もんぺおばさん 地域交流の欠かせない存在に 滋賀・栗東市 中井あけみさん

 土曜日の朝早く、普段は静かな集落ににぎやかな人の輪ができる。中心にいるのは、滋賀県栗東市の農業委員として現在2期目を務める中井あけみさん(69)だ。地域の人からは、親しみを込めて「もんぺおばさん」の愛称で呼ばれ、地域交流に欠かせない存在になっている。

手作りの石窯の前に立つ、中井あけみさん(右)と夫の牧造さん          

 毎週土曜日の朝8時、栗東市にある中井さんの工房前では「朝市」が開催される。中井さんが仲間の農家と共に始めて、20年以上続くイベントだ。中井さんが手作りの石窯で焼く天然酵母パンや、近隣農家の出店協力で朝採り野菜などが並ぶ。地元住民を中心に毎回30人ほどが集まり、コーヒーを片手に談笑する憩いの場にもなっている。
 朝市で若い世代と関わる中で「どうやってコメが作られるのかを知らない人が増えたと実感した」と中井さん。そこで、自宅前の田んぼを利用した農業体験も始めた。田植え、稲刈りなどの昔ながらの方法で収穫の喜びを知ってもらう。毎回約70人の家族連れが参加し、田んぼは泥だらけの子供たちの笑顔であふれる。
 田植えの途中、魚を捕まえた子供が「天ぷらにして食べる」と持ってくる。誰が作るのか尋ねると「もんぺおばさん!」と返すのがお約束の流れ。「じゃあ、魚のおなかをとってね」というように、必ず子供たちを調理に携わらせるのがもんぺおばさん流だ。「調理を通じて命の尊さも学んでほしい」と思いを語る。