列島最前線 地産地食 町農業を次世代に 徳島・神山町 フードハブ・プロジェクト

 町の8割以上を山に囲まれ、豊かな自然が広がる徳島県神山町。人口約5200人が暮らす同町では、2016年から産官学と地域が一体となって「フードハブ・プロジェクト」という取り組みを始めた。全国から視察が相次ぐなど、まちづくりの一つのモデルとして注目を集めている。

「産食率」は店内の客席やホームページなどで伝える              

 同町では農家の平均年齢が70歳を超え、近年、高齢化が進んでいる。耕作放棄地も増え続け、このままでは担い手がいなくなり、地域農業が途絶えてしまうという課題に直面していた。
 そこで、町の農業を次世代につなぐため、地域全体で農業者を育成し、支えていこうと始めたのが同プロジェクトだ。地元農家が生産する農作物を、地元住民が食べて支えるという仕組みが基本になる。同町ではこれを「地産地食」と呼び、活動に携わる人たちの合言葉になっている。
 この仕組みを支えているのが、(株)フードハブ・プロジェクトだ。2016年4月に町・公社・民間IT企業が共同出資して設立された。同社は、(1)育てる部門(2)食べる部門(3)つくる部門(4)食育部門の4部門で構成され、お互いに連携した事業を行っている。
 このうち、育てる部門は、主に耕作放棄地など町内の農地を借り受け、新規就農者を育成する。同社が借り受けた農地は「つなぐ農園」と名付けられ、現在の面積は約4ヘクタール。コメや小麦、野菜を中心に徐々に規模を拡大している。
 現在いる1人の農業研修生は、来年卒業する予定だという。町役場から出向し同農園の農業長を務めている白桃薫さん(35)は「卒業後は農園の一部の農地を継承し、町の担い手として活躍してもらう」と話す。
 育てる部門で育てたコメや野菜は、つくる部門が運営する食堂の「かま屋」とパン屋の「かまパン&ストア」で活用。地元住民がこれらの店を日常的に利用することが農業と担い手を支えることにつながる。
 かま屋では「産食率」という指標を使い、料理に使う食材のうち、どれくらいの割合が地元産なのかを算出。週や月ごとにとりまとめ、地元住民にも伝えている。白桃さんは「皆さんに食べて支えてくださいとお願いしている以上、こうして見える形で共有することも大切なこと」と語る。