分娩兆候お知らせ「モバイル牛温恵」母牛の体温変化で感知 出産立ち会いで事故が激減

 年間4%も発生する牛の分娩事故。立ち会えば助かるケースが多いが、夜間や外出時などには見逃しがちだ。そこで注目されているのが、体温変化で分娩兆候などを知らせる「モバイル牛温恵」。通信技術の発達で使いやすくなり、費用も下がって導入農家が増えている。

出産が近い牛に体温センサーを挿入する浅倉さん。繁殖牛28頭を飼育する志賀邦浩さんも2年前に導入した    

 大分県竹田市の和牛繁殖農家、浅倉博文さん(54)は、年間約50頭出産するうち3頭ほどで分娩事故が起きていた。畜舎内に監視カメラを設置しても事故は防げず困っていたが、3年前にモバイル牛温恵を導入してから、一度も起きていないという。
 同システムは無線機能がある体温センサーを分娩予定日の1週間前に牛の膣内に挿入し、微妙に変化する体温を5分ごと、0.1度単位で計測。分娩のタイミングなどを、NTTドコモのデータ通信網を通じてスマートフォンなどにメールで知らせるもの。
 分娩24時間前の「段取り通報」、分娩直前の「駆けつけ通報」、異常が出た場合の「SOS通報」がある。駆けつけ通報は一次破水時にセンサーが押し出されて温度変化を感知。余裕をもって分娩に立ち会える。
 このほか、発情の始まりを知らせる「発情通報」や疾病牛の異常体温を知らせる「上限異常通報」などの機能もある。
 以前は産まれる兆候が分からず大きな損失を出していたという浅倉さんは、センサーを5基導入。「分娩に立ち会っていれば防げる事故は多い。費用対効果はもちろんだが、無事に産まれることの安心感がより大きなメリット」と話す。