列島最前線 都市部と山間地つなぐ 自動車の街 愛知・豊田市 おいでん・さんそんセンター

 「自動車の街」愛知県豊田市では、市町村合併で山間地域も活性化すると思われたが、逆に過疎化が進んだ。危機感を抱いた市が、移住や都市との交流を進める「おいでん・さんそんセンター」を開設すると、I・Uターンが増加。企業などとの交流も進んで地域が活性化し、新住民による新たなビジネスも生まれている。

空き家片付け大作戦で汗を流すボランティア

 豊田市はトヨタ自動車のおひざ元。人口約43万人で、家族が自動車関連産業に就く世帯は8割を占める。2005年に4町2村と合併すると面積が3倍に拡大。森林が面積の68%を占めるようになった。
 合併で期待されたのが山間地域の振興だ。市は山間部を回る地域バスと、市中心部とを結ぶ基幹バスを運行。光ファイバー網を全地区に敷設、観光振興に力を入れ重要伝統的建造物群の保存と電線類の地下化、つり橋の設置や温泉施設のリニューアルなど多くの事業を行った。
 社会基盤の整備が進み、過疎化に歯止めがかかると思われたが、実態は逆だった。山間部では合併前10年間に人口が8.6%減少していたが、合併後の10年間は市街地に転居する人も増え、減少率が14.2%に跳ね上がった。

 市がソフト面でのアプローチも必要と、2013年に足助支所内に開設したのが同センターだ。「いなかとまちがつながるプラットホーム」で、2017年には一般社団法人化。「行政の信用と民間の機動力」で大きな成果を挙げている。
 事業は企業や住民、外部学識者からなる「プラットホーム会議」で協議し「移住・定住部会」など七つの部会で進めている。
 移住は市の空き家情報バンクを活用。空き家所有者と地域の代表が面談し、受け入れるのは子育て世代。10年間で517世帯、1468人が移住した。空き家所有者に売却や貸与を説得する「出前講座」、ボランティアによる「空き家片付け大作戦」などもしている。