女性農業委員の登用進め活動活性化へ 沖縄・沖縄市農業委員会

 沖縄市は沖縄本島の中央部で那覇市(なは)の北東約20㌔に位置する。太平洋に面し、総面積は4972㌶、そのうち農用地は208㌶を有する。小菊、ビワ、マンゴーは県より拠点産地認定を受けており、特産物として食用菊、ササゲなどが生産されている。

女性登用に向けた現場活動にはチラシなどを準備し、直接出向いて説明を重ねた

 沖縄県は、今年10月に県内33市町村(南城市(なんじょう)、沖縄市、うるま市、八重瀬町(やえせちょう)を除く)で農業委員および農地利用最適化推進委員の改選期を迎える。
 沖縄市農業委員会は、4月1日に農業委員会法改正後3期目の改選が行われ、農業委員14人と推進委員5人を選任した。
 同委員会では、女性の農業委員・推進委員の登用促進に向け、9月には沖縄県農業委員会女性協議会と共に市長へ「女性農業者の農業委員への登用促進に関する要請書」を手交し、意見交換を実施してきた。その結果、14人のうち4人の女性農業委員を誕生させた。
 女性農業者の委員登用促進活動にあっては、市町村部局(農林水産課)との連携を図り、リスト化された女性認定農業者および基本構想水準到達者などの担い手に直接現場に出向いてアプローチしてきた。

屋宜さん(左から2人目)と新任の農業委員

 今回、登用促進活動の中心となったのが女性農業委員の屋宜文(やぎあや)さんだった。これまでは事務局職員が業務内容を説明したが、どうしても堅苦しい印象から女性農業者が構えてしまうことが多かった。しかも女性が農業委員になるためには、家庭の理解が必要なため、なかなか首を縦に振ってくれない状況であった。
 屋宜さんは事務局職員と全国農業図書とチラシを持参。直接現場に出向くと「まずはお話だけでも聞いてほしい」と同じ農業者として女性たちに声をかける。基礎的な農業委員の業務や今後の沖縄市の地域計画に携わってほしいなど、自身の活動状況や世間話も交えコミュニケーションを大事にしてきた。
 女性にとって「農業委員活動は必ずプラスになる。決してマイナスになることはない」。現職女性農業委員の言葉には重みがあり、候補者の心を揺り動かし、背中を押してきた。そのかいあって、女性委員候補者の推薦依頼など関係機関への要請活動や地域の後押しも取り付け、新たに女性農業委員3人が誕生した。
 沖縄県農業委員会女性協議会副会長を務める屋宜さんは「女性農業委員が2人から4人になるのは楽しみ。男性委員の陰に隠れがちだったが、女性委員が増えることで積極的に発言ができる。女性ならではの感性を活かし視察研修や食育活動に取り組み、農業委員会活動の『見える化』につなげたい」と語った。
 譜久山朝仁(ふくやまちょうじん)事務局長は「耕作放棄地の解消と農地の集積・集約に向け、女性ならではの視点や発想を存分に発揮してほしい。成果を得られたら女性農業委員はさらに増えると思うし、これからの地域計画に女性の意見を積極的に反映させていきたい」と女性農業委員の活躍に期待を寄せる。