地域計画策定へ進む話し合い 愛知 豊明市農業委員会

 豊明市は、市農業委員会(青木規久範会長)と連携して地域計画の策定に動き出した。農地所有者などから意向を聞き取り、それを基に協議の場を開催。市職員らが工夫を凝らすことで参加者の意見交換が活性化し、地域計画づくりも順調に進んでいる。

地域住民が参加した「地域農業の未来を考える会」

 豊明市は、全体の耕地面積の約6割が水田で水稲が多いが、麦や野菜、果樹栽培も行われている。名古屋市も近く、都市近郊地域の特色を活かして直売や観光農園も営む。愛知豊明花き地方卸売市場があることから花苗も生産されている。
 一方で、生産者の多くが70歳以上であり、高齢化と後継者不足が課題となっている。そのことも踏まえ、市は市農業委員会と連携して、地域計画の策定に動き出した。
 2023年6月から8月にかけて、農地所有者と耕作者に対し意向調査を実施。対象者の約7割から回答を得ることができ、それを基に資料と耕作者の年齢別の現況地図を作成した。
 12月からは市内を5地区に分け、地域住民を対象とした協議の場「地域農業の未来を考える会」を企画。これに備え、事前に市職員が演習し、続いて農業委員・農地利用最適化推進委員を含めての話し合いを複数回行い、内容を熟成させた。すべて市の職員などで準備し、「大変な労力と時間がかかったが、事前準備で会を有意義なものにできた」と担当者は話している。

グループでまとめたアイデアを発表した
それぞれのアイデアを集約

 会は「地域の農業を続けるための方法を一緒に語り合いましょう」をテーマに開催。愛知県農業会議が主催した「座談会成功のコツ研修会」で学んだ手法を取り入れた。
 会は、地域農業の現状・課題のほか、未来に向けた方針、方針の実現に向けた具体的な方法などをグループで語り合った。テーマには「地域ごとに方針を決め、今後計画などを作成する際の軸とする」という意図があった。結果、各地区で「優良な農地を、新規就農者や後継者などの意欲ある人・法人にまかせ維持」という方針で固まった。
 会場の雰囲気づくりも工夫し、子どもたちが描いた野菜・果物の絵を会場に掲示。「次世代のためにも、農業を残そう」というメッセージが込められた。和やかな雰囲気で前向きな発言が多く、「これまで出た会議の中で一番楽しい」という参加者もいたという。
 市は現在、2回目の会の開催に向けて準備を進める。目標地図の作成に向けた話し合いが主なテーマとなる予定で、条例に基づいた豊明市農業政策計画検討委員会の協議を経て、地域計画を策定・公表する。