「まるっと農地中間管理方式」を推進 京都府農業会議

 京都府農業会議は、一般社団法人などの地域組織が複数集落の農地を一括管理する「まるっと農地中間管理方式」を「集落営農の新しいスタイル」と位置づけ、府内の取り組みを伴走支援している。担い手不足が顕在化する中、担い手のために耕作地の集約化を進めながら、地域外からの新規参入の促進や兼業農家の営農も支援する仕組みづくりに力を入れている。

合意形成に向けて、地権者への説明会、耕作者への説明会、地区単位の説明会などを重ねた

 亀岡市馬路町(6集落、農地面積178㌶)では、4年前から「新集落営農組織」の設立に向けた検討会や耕作者・農地所有者との意見交換会を50回以上重ね、昨年8月、「(一社)馬路町農地管理センター」を設立した。
 同町では、農地中間管理事業を活用して同センターが町内の農地の85%(151㌶)を預かり、146人の耕作者が特定農作業受委託により耕作する体制を確立。今後、高齢農家などのリタイアが生じた場合、同センターが町内や町外から耕作者を募って営農を継続する仕組みが整った。
 同町で「新営農組織設立準備委員会」を設立して地権者(442人)にアンケートを行った際には、全体の8割が「5~10年以内に農業をやめる」という回答だった。今後の担い手不足に備えるため「まるっと農地中間管理」の導入を決定したが、地権者のうち町外在住者が4割を超えるため、合意形成に4年間かかった。
 「一般社団法人による『まるっと農地中間管理』は府内で初めての取り組みだったので、農業会議による伴走支援はありがたかった」と中澤基行代表理事は振り返る。

馬路町農地管理センターが農地中間管理事業を活用して151㌶の農地を一括管理

 府内では、現在、持続可能な広域営農システムづくりをめざす「集落連携100㌶農場づくり」が10地区で取り組まれている。このうち、一般社団法人が農地中間管理事業を活用して全農地を引き受ける「まるっと農地中間管理方式」は、京丹波町・福知山市・伊根町などでも検討が進められている。
 各地で地域計画策定にあわせて取り組みを前に進めるため、府農業会議が伴走支援に努めている。