地域の農地は自ら守る 山口・周南市

 周南市は、守るべき農地の計画的な集積・集約を進めるため、関係機関が緊密に連携し地域計画の策定を進めている。

役割分担をし円滑に進んだ座談会

 周南市は、北部の中国山地からなだらかな丘陵地が広がり、瀬戸内海のそばに幅の狭い平坦地が位置している。農業従事者は約2200人で、5年間で35%減少した。
 同市は、人・農地プランを実質化した際の課題を踏まえ、地域計画の策定では丁寧な説明と話し合いに特に力を入れている。本年度末までに事前説明会、座談会2回、計画案説明会の計4回の話し合いを、市内17地区で実施する。
 これらを期限までに完了するにはマンパワーが足りないと考えられることから、同市では関係機関の緊密な連携と役割分担で作業を進めている。地域計画の策定統括と担い手への聞き取り調査は市農業振興課、耕作者の意向調査と目標地図の素案作成は市農業委員会が実施する。
 また、座談会では、全体の進行を農業振興課と市総合支所、各テーブルの進行や出された意見を地図に書き込む作業などを農業委員会、県農林水産事務所、JAが行う。県農林振興公社も同席し、農地集積について助言する。地域の将来と農地の保全を考えるため、地域づくり団体など非農家の団体にも参加を呼びかけている。
 農業委員と農地利用最適化推進委員は、地域ごとの実情に合わせて日程を調整。座談会の開催案内を耕作者に直接手渡しし、声を掛けることで多くの参加につながり、「地域住民自身の問題」という意識づくりにも一役買っている。

参加した住民の意見をふせんで書き込んだ目標地図

 周南市役所から北東に位置し住宅団地も混在する中山間地の須々万(すすま)地区では、11月に2回目の座談会が開催された。1回目の座談会で出された意見を踏まえて修正した目標地図の案をもとに、農業利用する範囲と担い手について確認した後、これから地域で取り組みたいことについて意見を交換した。参加者からは、草刈りや道の修復、用排水の支援などを求める声が上がった一方で、法人化、ファーマーズマーケットの設立、観光農園への参入などの意欲的な発言も見られた。
 市では今後、こうした意見を分析し、地域計画の案を作成。説明会後、年度末までに公告・縦覧する。計画策定後も協議の場を毎年開き、継続的に見直していく予定だ。
 同市農業振興課の松田康仁担い手支援担当係長は「以前はこのように農業者が集まる機会がなかった。みんなで地図を見ながら話し合うことで、守るべき農地も明らかになり、農地の貸し借りの話も進みやすくなる」と期待を寄せる。