タブレットで効率的な農地パトロール 高知・香南市農業委員会

農地パトロールではタブレット端末とA1サイズの地図を使う                       

 香南市農業委員会(恒石巖会長)は、本年度より農地の位置情報がわかるタブレット端末を活用した農地パトロールを実施し、課題であった正確な農地の位置の把握や、調査後の集計作業の労力の軽減に成果を上げている。

 同委員会は2018年5月1日に新体制に移行。農業委員19人、農地利用最適化推進委員19人で農地の利用集積や遊休農地の解消に積極的に取り組んでいる。
 昨年度までの農地パトロールは、前年度の調査結果を反映させたA1サイズの地図を持って現地に出向き、その地図と現地を突き合わせて調査していた。
 しかし、国土調査が未実施などの理由で、地図と現地が一致していないところも多く、農地の位置を正確に把握できないという課題があった。
 そこで、調査の精度を上げるとともに、調査後の集計作業などの労力を軽減するため、現地に持ち運びができるタブレット端末の導入を決めた。
 できるだけ簡単に操作ができるように、タブレット端末に搭載している情報は、農地の所在地と面積、登記地目など最小限にした。

 農地パトロールは21地区にわけ、各担当地区の農業委員と推進委員の2人と職員1人で構成したチームで実施した。
 A1サイズの地図は補助的に使用し、衛星利用測位システム(GPS)機能を使って現在地を確認。カメラ機能で現地の様子を撮影し、その写真と位置情報の紐(ひも)付け作業を行う。
 タブレット端末の導入により、調査場所の違いは格段に少なくなった。また、ボードに整理番号を記入して撮影する必要がなくなり、時間の短縮もできた。
 さらに、事務局にはタブレット端末の情報が反映される機能を搭載したパソコンを設置。現地で紐付け作業された情報がパソコンに集約される仕組みになっており、今まで手作業でしていた集計作業などの労力が軽減できた。
 ただ、炎天下では1時間程度でタブレット端末の温度が上がり不具合が起こることや、中山間地域や谷地では位置情報に誤差が生じることがあるため、今後はさらなる改良が必要と考えられる。
 恒石会長は「推進委員も誕生し、担い手への農地の集約や遊休農地対策に期待が高まっている。タブレット端末の導入は、遊休農地の正確な調査だけでなく、日頃の最適化業務にも有効に活用できるようになれば、農業委員会としての活動も充実してくるのではないかと思う」と話す。