ストップ鳥獣害(177) 牧草地の角はやっかいな“落とし物” 北海道・えりも町

畜産が盛んな北海道えりも町では、エゾシカによる牧草の食害が深刻だが、春に生え替わる角が草の間に落ち、トラクターのタイヤのバースト(破裂)なども起きている。このため、肥料散布や牧草収穫などの前に、広い牧草地を回って角を拾い集める作業が欠かせない。
ヒット曲「襟裳岬」で知られるえりも町は、日高山脈が太平洋にぶつかる道東の南端。農地はほとんどが放牧地か採草地で、肉用牛と酪農、競走馬の生産が盛んだ。
エゾシカの捕獲は、近年2500頭の計画に対して2017年度が2518頭、2018年度も1228頭と順調で、生息数は減っている。だが牧草の被害は、2016年度の118万円から2017年度は1千万円超へと逆に増えた。狩猟禁止区域や銃猟に不向きな場所に群で生息し、牧草地などに出没するようになったためだ。
そこで同町では、本年度から鳥獣害対策を拡充。捕獲後は原則として町の解体処理施設に搬入することとし、捕獲助成の対象に従来の1頭7千円に加え、新たにジビエ利用の場合の9千円を追加した。ジビエ利用以外はペットフードに加工し、焼却などの費用を抑える。このため、企業と全頭引き取りを契約している。
同町では2005年から2017年まで、毎年4月に「エゾシカ角拾いツアー」が開かれていた。JAと町商工会が札幌市の環境市民団体と連携して行っていたボランティア活動。広大な景色を楽しみながら鹿の「落とし物」を拾い、拾った角でアクセサリーなどの加工体験をする。宿泊施設の閉鎖で現在は中止されているが、町外から毎回数十人の家族連れなどが参加する人気のイベントだった。
町産業振興課の武田健太郎課長は「機械事故で困っていた農家の要望で始まった。ジビエやペットフードと同じ、前向きな対策だったが残念」と話す。

写真=2017年まで開かれていた「エゾシカ角拾いツアー」。角はアクセサリーなどに加工体験(えりも町郷土資料館提供)