農地パトロールでドローン活躍 山間部での負担減に期待

農薬などの散布や播種、圃場のセンシングなど、農業分野で活躍の幅を広げるドローン。これを補助的に活用し、山間部での農地パトロール(農地利用状況調査)を”スマート化”する農業委員会が出てきている。現況を確認しようにも、道のりが険しく立ち入るだけで時間的にも肉体的にも負荷が大きい。そんな農地を空からの目で把握し、負担軽減と効率化につなげる狙いだ。

福岡市農業委員会 市と現況調査で検証

ドローンは農地パトロールにどれほど役立つのか? 昨年度、福岡市農業委員会(堀内之会長、77)と市の農林水産局が手を組んでこの疑問に挑んだ。ドローンを使って山間部の農地の現況調査を実施し、調査時間や負担軽減効果、精度を検証した。
同委員会では毎年8月頃から利用状況調査を始める。27人の農地利用最適化推進委員が調査を担うが、平均年齢は68歳と高齢。農業委員から市長に「ドローンで調査を効率化できないか」と提案したことがきっかけで、農林水産局が事業化した。
急傾斜や獣害用の柵のために立ち入りが難しく、徒歩では体力的・時間的負担が特に大きい6カ所(計40ヘクタール)が対象だ。農地所有者には農業委員や推進委員、自治会を通じて周知した。操縦は業者に委託し、空撮画像を数百枚つなぎ合わせることで広範囲を一度に確認できる「オルソ画像」を作成。推進委員による現地調査と結果を比較した。
1カ所の現地調査にかかる時間は目視が平均2時間強から3時間強だった一方、ドローンは平均36分と、大幅に効率化した。事務局担当者は「何よりも猛暑下で長時間過ごす肉体的負担が軽減したのは大きい」と手応えを語る。
精度面でも実用可能と判断。画像だけでは雑草か作物か分かりにくい場合、飛行中に農地に近づいて録画した動画を組み合わせれば、遊休地の判定におおむね活用できるとした。
本年度からは農業委員会の単独事業として、本格的にドローンによる調査を実施する予定だ。8月の利用状況調査と並行して対象地区をドローンで撮影。現場をよく知る推進委員が後日画像を確認し、遊休化しているかどうか判断する。
事務局担当者は「対象はあくまで立ち入り困難な農地のみ。負担が減った分は、農地の貸し手と借り手のマッチングなど他の委員会活動に生かしてほしい」と期待する。他にも、毎年度の撮影データを比べて作付けや遊休化の状況を把握することで、人・農地プランの話し合いなどにも活用したい考えだ。

香川・さぬき市農業委員会 立ち入り困難地域で活用

香川県さぬき市農業委員会(松原俊幸会長、79)も昨年、県内で初めて利用状況調査にドローンを導入した。松原会長は「人の足で立ち入りにくい場所こそ遊休化しやすく、重点的なチェックが欠かせない。ドローンはうちのように山間部が多いところでは絶対に必要だと思う」と話す。
機体は市が災害時に備えて所有するものを活用。農業委員や推進委員から要請があれば、松原会長など操縦士の資格を持つ委員が出向いて操作を担う。対象農地は草が生い茂って進入路が分からないなど、踏み込むのが困難な場所に限る。昨年は山間部の2カ所(計1.7ヘクタール)で飛行した。
本体から送られてくる空撮画像と農地図を照らし合わせ、その場で現況を確認するのが調査の流れだ。従来は1時間ほどかけて見回っていた場所が15分程度で済むようになったという。荒れた農地に無理に分け入ってけがをする危険が減るなど、委員の安全面でのメリットも大きい。
険しい山間部の農地パトロールを補助するツールとして期待を集めるドローン。一方で、安全確保のためにさまざまなルールがあり、注意が必要となる。民家上空の飛行では家主の理解を求め、車通りの多い道路上空では警察署の許可が要る場合があるなど制約は多い。天候に左右されるリスクもある。導入には十分な検討が不可欠だ。

写真上=山間部での農地パトロールの効率化に期待が集まるドローン(福岡市農業委員会)

写真下=さぬき市農業委員会では資格を持つ委員らが操縦