FRONT LINE 有機野菜を航空便で関東へ 大分・宇佐市 安心院オーガニックファーム

「栽培はほとんどがハウス」と話す村岡さん             

 (株)安心院オーガニックファームは大分県宇佐市の約20ヘクタールでベビーリーフなどを有機栽培している。同社を設立した村岡徹取締役(40)は有機農産物の集荷・販売する親会社で父が立ち上げた(有)むらおか(福岡県)の経営にも携わっている。親会社を通じ、約6割を航空便で関東の生協や100店舗以上の大手スーパーに卸している。


村岡さんは「関東からの出荷と比べ発注から納品までの時間がほとんど変わらない。前日に収穫したものを6時間以上予冷して、翌日送ることで高品質を保っている」と話す。注文も1週間まとめてくれるため、計画を立てやすい。航空便は重量換算で運賃が決まり、大手運送会社などと比べ1箱当たりの輸送単価は半額以下で済んでいる。
 現体制の確立は設立の経緯が関係している。村岡さんは2009年からむらおかの営業担当として九州の有機野菜を売りに東京を回っていた。運賃を加味すると割高で「地産地消」という言葉も出始めた時期。なかなか売れず、関東の産地から仕入れて販路を開拓した。
 当時、集荷の得意先だったのが茨城県つくば市で大規模にベビーリーフを栽培している(株)HATAKEカンパニー(木村誠社長)だった。関東での販売が軌道に乗り始めたころ、東日本大震災の影響でつくば市の野菜が納品しづらい状況に。一方で、九州の野菜の需要が急激に高まった。九州の仕入れ先を確保するも需要に追い付かない。そこで自社での生産を決意する。

ハウス約120棟が林立している


九州各県で農地を探す中、浮かび上がったのが大分県。企業参入に熱心で、施設を作るにも手厚い補助制度があった。そこで村岡さんが中心となり、13年に(株)安心院オーガニックファームを設立した。
 参入先に選んだ同市安心院町は国営の基盤整備事業を行っていて、まとまった3ヘクタールの畑を借りることができた。近隣の市町村や整備が終わった場所を順次借り受け、約20ヘクタールまで規模が拡大していった。
 ベビーリーフは播種から収穫まで約30日と早い。販売は親会社に全量出荷。ほとんどをハウスで栽培し、年間7~8回転している。繁忙期は一部露地でも作る。通年雇用6人、外国人技能実習生5人とパート約20人で回す。
 生産はベビーリーフが全体の約8~9割。関東の需要は今も少しずつ伸びている。ほかにパクチーや非結球レタス、ナバナなども作付ける。今後は新たに柱となる品目を作ろうと計画中だ。
 ようやく規模拡大が落ち着いてきたと感じている村岡さんは「安心院はブドウの産地。近隣の農産物を集荷して販売するなど少しずつ地域にも貢献していけたら」と話す。