イチゴ苗のハダニ防除 柿脱渋装置でCO2薫蒸 経費・労力減、徳島で広まる

柿脱渋装置でCO2薫蒸するイチゴ苗

 イチゴの重要害虫であるハダニ類は苗からの進入が多いため、定植前に炭酸ガスで薫蒸して防除する技術が広がっている。徳島県では同じ原理の柿脱渋装置を使うことで、経費・労力を大幅に軽減。利用が拡大している天敵製剤の効果も高めている。

 高濃度炭酸ガスによる薫蒸は、貯蔵穀物の害虫防除に用いられている。炭酸ガスによるイチゴ苗のハダニ防除はこの技術を応用したもので、宇都宮大学の村井保名誉教授らが開発。同氏によるベンチャー企業や炭酸ガスメーカーなどが装置を開発し、産地での導入が進んでいる。
 だが、装置が高額なため、同県の吉野川農業支援センターは比較的小規模な県内の生産者・産地では普及が難しいと判断。JA板野郡が所有する柿脱渋装置に着目した。
 密閉した空間に柿を入れ、CO2で24時間薫蒸して渋を抜く装置で、イチゴ苗のハダニ類防除装置と同じ原理だ。同JAは3機所有しており、柿の脱渋作業が始まる前に薫蒸している。
 2016年に、イチゴ農家に呼びかけて4戸(2万株)が試験的に行ったところ、栽培期間中ハダニ類はほぼ発生せず、生育も順調で品質も良かった。農家の関心が高まり2017年は8戸(5万株)、2018年はJA組合員の6割に当たる12戸(11万株)が取り組んだ。今年も9月中旬に予定しており、さらに増えると見込まれる。

 イチゴ苗の炭酸ガス薫蒸はCO2濃度60%、処理温度25~30度で24時間静置するもの。ハダニ類の成虫と卵は完全に死滅するため、圃場での殺ダニ剤の使用回数は薫蒸処理をしない場合の14回から、2回へと大幅に減らすことができた。
 イチゴの苗株をコンテナに入れて持ち込み、利用料は1コンテナ当たり230円(消費税別)。1コンテナに7.5センチポットなら約35株、ツイントレイなら約60株入る。
 同センターによる費用試算(税込み)では、10アール(125コンテナ相当)当たり処理経費が3万1千円、搬入・搬出作業にかかる8千円を加えても3万9千円。通常の化学合成農薬と天敵製剤で防除する場合の同8万4千円に比べて半分以下となる。