クラウドファンディング 農業分野でも広がる

 農業分野でクラウドファンディングを活用した取り組みが広まっている。新規事業の資金調達の手段としてだけではなく、既存商品の販路拡大や新たな商品の試験販売などを目的に、同サービスを活用する経営体も増えている。

 クラウドファンディング(以下、CF)とは、クラウド(群衆)とファンディング(資金調達)を組み合わせた造語で、主にインターネットを通じて、プロジェクト(事業計画など)に賛同した一般個人から直接資金を募る仕組みだ。中には1億円以上を調達したプロジェクトもある。
 2000年代後半に米国で普及し、国内では2011年3月に発生した東日本大震災で、被災地の復興を支援する方法として注目されて広がったといわれている。年々、国内のサービス事業者も増えており、市場規模は右肩上がりで伸びている。
 (株)矢野経済研究所が2018年12月に公表した調査結果によれば、2017年度の国内CFの市場規模(新規プロジェクト支援額)は約1700億円で前年度比127.5%増となった。2018年度の見込み額は、約2千億円を超える見通しとしている。
 このような中、農業分野でもCFの活用が広がっている。(株)マイナビでは、2018年5月から農業に特化したCFサービス「クラマル」の運営を開始した。初期費用は無料で、プロジェクトで集まった金額から一定の手数料を差し引いた金額を得ることができる仕組みだ。
 さらに行政機関がCFの活用を積極的に後押しするケースもある。宮城県では2016年度から、CFの活用による県産農産物を用いた新商品の開発やサービスの提供などの取り組みを支援する事業を始めた。県内の農業・農村の活性化が目的だ。
 同事業ではCFを活用してプロジェクトの調達目標金額を達成した場合に、事業実施者がCF運営事業者へ支払った手数料の一部を補助する。本年度は25万円を上限に手数料の2分の1を補助。また作成したプロジェクトは、連携するCF運営事業者が特設したサイトで広く公開される。
 支援の対象は県内に拠点のある個人や法人などで、地域の食や農業について広くPRすることが可能であることなど、取り組みの内容に一定の要件を設けている。県農政部農業振興課によれば、これまで3年間を通して50件のプロジェクトが公開され、うち37件が成立しているという。