【列島最前線】 耕作放棄地解消のため 小さな会社設立 熊本・氷川町 氷川のぎろっちょ

水稲や果樹などが盛んな熊本県氷川町に昨年2月、小さな会社が誕生した。(株)氷川のぎろっちょ。立ち上げたのは、町の課題を探求する活動に参加した女子中学生(当時)5人。耕作放棄地の多さに気づき、対策を進める組織として設立した。2年目の今年、活動が本格化している。

「おはようございます。代表取締役で人財育成部長の竹山実李です」「よろしくお願いします。草刈り事業・広報部長の堀川桃子です」
取材に訪れると、赤いつなぎのユニホームを着た2人が名刺を手に、明るい声で出迎えてくれた。竹山さん(16)は工業高専の2年生で、堀川さん(15)は地元の中学3年生。他のメンバーは果物部長の木萌衣さん、野菜部長の清田日和さん、商品開発部長の上田友香さん。3人とも15歳の高校1年生だ。
彼女たちは新聞販売店の岩本剛さん(56)が、キャリア教育として主宰する「子ども記者クラブ」の会員。活動の一環として2016年から始まったのが「まちの課題解決・探求コース」で、竹山さんたちが1期生だ。そこで気付いたのが空き地、空き家とごみの多さ。農家の高齢化で耕作放棄地が増えていることが分かり「草刈りをしよう」「ごみ問題の解決にもなる」などと話し合った。
活動を継続し、地域の協力を得やすくするために出たアイデアが「会社を作っちゃえば」。最年長の竹山さんが代表となり、2018年2月に設立した。「ぎろっちょ」は、地元に多いハゼ科のヨシノボリという魚。大きな目とお腹の吸盤が特徴で「広く地域を見渡し、つらくても流されずに頑張ろう」という思いを込めた。
耕作放棄地で農作物を栽培し商品開発もする。定年退職者や新規就農者が小さな農業からはじめ、専業を目指せるようなプログラムもつくる。事業目的に合わせて部をつくり、全員で担当している。
1年目はクラウドファンディングで目標を上回る161万円を集め、草刈機を購入。不在地主に頼まれて草刈りをし、岩本さんの農地で黒豆やスダチなどを植えた。農産物直売所で販売体験もした。高校受験を控えたメンバーが多かったため活動を抑えたが、今年は月2回全員参加の「農作業の日」を設けた。夏休みなどには集中的に活動する。
学業との両立が大変だが「この活動は学校では学べない」と竹山さん。来年高校受験の堀川さんは「両立させて頑張ります」

写真=昨年植えたスダチの葉は鹿に食われネットを張った。右が岩本さん