列島最前線 産地守り次世代へつなぐ 熱い思い原動力に奮闘中 愛媛・宇和島市 玉津柑橘倶楽部

社長の原田さん。ジュースは現在「温 州ミカン」と「宇和ゴールド」の2種類を扱う               

 西日本を中心に襲った平成30年7月豪雨から1年。甚大な被害を受けた愛媛県宇和島市玉津地区の若手農家たちが立ち上げた小さな会社、「(株)玉津柑橘倶楽部」が今、注目の的となっている。産地を守り、次世代につないでいく。その熱い思いを原動力に、営農再開への支援や人材確保、ミカンの販売など、さまざまな角度で地元農家の手助けに奮闘中だ。

 海に面した段々畑が美しい景色を織りなす、県内有数の柑橘産地の同地区。豪雨では80ヘクタール近い園地が流され、スプリンクラーなどの設備も広範囲で被災した。徐々に復旧は進んでいるものの、大きく崩れた園地は一から造成し直す必要があり、いまだ爪痕は残る。
 同社は昨年12月に設立された。メンバーは現在15人で、全員20~30代の柑橘農家だ。同地区は後継者が比較的多いが、それでも高齢化は深刻。以前から若手で高齢農家を手伝えないかと考えていたのが、豪雨を契機に形となった。
 特徴的な事業の一つが被災農家と耕作放棄地のマッチングで、これまでに2人の営農再開につなげた。園地の再編工事は長期にわたるため、未収益期間の対策は欠かせない。収穫までの期間を少しでも短くするため、同社が育てた苗木を販売する構想もあるという。
 人手不足の解消にも力を入れる。地元JAと連携し、農作業のアルバイト希望者と人手が欲しい農家を橋渡しする仕組みを整えた。今月から本格始動する。空き家を借りて宿泊施設を用意するなど、受け入れ準備は万端だ。
 社長の原田亮司さん(36)は「アルバイトをきっかけに移住や就農希望者が増えるとうれしい。復旧後も見据え、継続的に人を受け入れていく」と意気込む。