列島最前線 農業伝える「小学校」 宮崎・日向市 大王谷農業小学校

「命を頂いて生きていることを知ってほしい」と、校長先生の本山さん(中央)の思いは熱い          

 農業高校や農業大学校ならぬ、「農業小学校」が宮崎県日向市で広がりを見せている。小学4~6年生の児童たちが隔週の土曜日に専用の農地に「登校」し、農作業に励む。市内で2校目の大王谷農業小学校は今年で5年目を迎える。地域の農家も協力し、耕作放棄されていた農地は子供たちの声があふれる場になった。

 同校の児童で小学6年生の林優花さん(11)は、「農家さんが苦労して野菜を育てていることが分かった。特に草取りが大変」と実感したという。同じく西田珂凜さん(11)は、「きちんと雑草を抜いて、しっかりと野菜を育てたい」と笑顔で話す。
 同校に通うのは市内の小学生17人と大人3人の合計20人。毎月第2、第4土曜日が全員参加の登校日で、それ以外の日も自由に作業できる。4月から1年間の活動で「卒業」する。
 24アールの農地は地域で営農する(農)ひまわりが耕作放棄地を再生したもの。各自が5メートル四方を使ってトマトやピーマン、大根などを育てる他、自由に種を持ってきて好きな作物を栽培できる。他の部分は共同の畑として、水稲やトウモロコシ、スイカ、サツマイモなどを全員で育てる。
 同法人の黒木耕作さんが農作業や座学の講師として子供たちを指導する。地域の住民もこの活動を手伝い、繁忙期には11人ほどの協力者が駆け付ける。
 同校の運営を取りまとめ、校長を務めるのは元中学校教師の本山隆太郎さん(67)。同市の財光寺地域で開校した1校目の農業小学校の校長、二見順雄さんの思いを引き継いで、同校を設立した。「スーパーで売っている野菜しか知らない子供も多い。命を頂いて生きていることを知ってほしい」と語る。