活動内容

全国農業会議所では主に下記の6つの活動を行っています。

農地

―優良農地の確保と有効利用のための支援―

農業生産、農業経営の存立基盤である優良農地の確保と有効利用のための活動を展開しています。

農地法等の法令業務の適正な執行

2016年4月に施行された改正農業委員会法や農地法等の趣旨を踏まえ、優良農地の確保・有効利用に向けた法令業務の適正執行を推進するため、都道府県農業委員会ネットワーク機構(都道府県農業会議)、市町村農業委員会に対する研修会の開催や現地巡回指導、情報提供を実施しています。

「耕作放棄地発生防止・解消活動表彰事業」の推進

耕作放棄地の発生防止・解消活動について優れた取り組みを展開する団体・経営体等を顕彰し広く普及するため、2008年度から「耕作放棄地発生防止・解消活動表彰事業」を実施しています

遊休農地の発生防止・解消対策の推進

改正農地法に基づく「農地の利用状況調査」や日常的な農地パトロールを通じて、遊休農地の発生防止・解消対策や農地の無断転用の防止に取り組んでいます。

農地情報公開システムの運用

農地情報公開システム整備事業により、農業委員会が法令業務を執行するための基礎情報を管理する「農地台帳・地図システム」および一部の情報をインターネットで一般公開する「全国農地ナビ」などを、農地情報公開システムとして開発し運用しています。特に農地台帳・地図のインターネット公開は、農地法において農業委員会が実施するとされている事務を、全国農業会議所が農業委員会から業務委託を受けて実施しているものです。

市町村農業委員会の地域活動の支援

農業委員会における担い手への農地利用集積や遊休農地の解消・防止対策を推進するため、農地利用現況図の作成・活用の実践手法や、集落座談会等での合意形成活動の進め方、「一斉耕起の日」の設定など、農業委員会段階の活動を支援するための啓発・普及等の取り組みを行っています。

「新・農地を活かし担い手を応援する全国運動」の推進

2011年度から農業委員会組織では、全国運動として、「地域の農政と担い手を守り活かす運動」に取り組んでいますが、2016年度からは農業委員会法の改正に伴い、「新・農地を活かし、担い手を応援する全国運動」に取り組んでいます。

この運動では、

  1. 担い手の農地利用集積率8割、遊休農地ゼロに向けた取り組み強化
  2. 担い手の確保と経営の合理化及び高度化に向けた支援の強化
  3. 地域の声を取りまとめた「意見の提出」を全ての農業委員会で行い、農業施策等への反映
  4. 農業・農村の実態と農業委員会活動を積極的に周知する情報提供活動の強化 ─を目標としています。

担い手・経営

―魅力とやりがいのある農業経営の確立に向けて複式簿記・青色申告や農業経営の法人化等の推進、新規参入を含む農業界の人材確保対策を進めて―

担い手・経営政策推進の拠点として

認定農業者制度の発足以来、経営支援のための全国農業経営改善支援センターを設置し、望ましい農業構造の確立に向けて、農業分野における担い手・経営政策推進の拠点としての活動に取り組んでいます。 担い手の育成を進めるため、市町村の現場で認定農業者等の経営改善を指導、フォローアップする人材の養成や民間専門家(公認会計士、税理士、中小企業診断士等)による相談体制の整備を図っています。 また、全国、都道府県、市町村の各担い手育成総合支援協議会等との連携強化を進めています。

認定農業者の経営改善の支援

自らの経営改善に取り組む意欲ある認定農業者を支援するために、低利融資、税制の特例、農地の優先的な利用集積など様々な支援策があります。
担い手協議会等と連携して、これら制度のPRを行うとともに、認定農業者の経営改善目標の基礎データである農業経営改善計画の達成状況などのデータ収集・分析を行うとともに、経営改善指導のためのカリキュラムやマニュアルづくりを行っています。

簿記記帳・青色申告の推進

複式簿記記帳の指導を通じ、経営の計数管理により経営改善を図る経営者の育成を支援しています。 青色申告の普及定着を図るための指導を行うとともに、簿記記帳者の記帳結果等をもとに経営改善に役立つ経営診断を進めています

認定農業者の交流・ネットワークづくり

一人ひとりの認定農業者を支援するため、市町村や都道府県では認定農業者の組織づくり、ネットワークづくりを進めており、全国においても認定農業者同士の交流や自主的活動の促進を目的に、「全国農業担い手サミット」を開催しています。

農業経営の法人化の推進と組織活動の支援

1955(昭和30)年代以降一貫して農業経営の法人化や農業法人の自主的な組織化と組織活動の支援を行っています。 1962年(昭和37年)に制度化された、農業生産法人制度(現在の農地所有適格法人制度)は農業経営の近代化の要請を受け、農業委員会組織による法制化の運動により生まれたものです。
その後も農業経営確立の観点から農業生産法人制度等の改善や公益社団法人日本農業法人協会と連携して法人化の推進や組織化を推進しています。

農業経営者運動の支援

農業法人の組織化の土台ともなったのが、農業者の自主的な相互研さん組織である「経営者組織」による農業経営者運動です。農業委員会系統組織は各種研修会・講習会の開催を通じてその支援を行ってきました。
全国農業経営者協会や全国養鶏経営者会議、全国稲作経営者会議など部門別の全国組織の事務局として活動を支援しています。

農業の雇用改善の推進

新規就農者の増加と農業での定着を図るため、農業法人等の雇用環境の整備に必要な雇用や労務管理に関する相談、助言、指導などを行っています。

外国人技能実習生・農業技能評価試験の実施

公益財団法人国際研修協力機構(JITCO)から認定を受けて、外国人技能実習生1号から2号に移行する際の農業分野における技能評価試験(2職種6作業)を実施しています。

農業者年金制度の推進

農業者年金制度は、「農民にもサラリーマン並みの年金を」というスローガンのもと、農業委員会組織として350万人の署名を集めるなど、農業者のエネルギーを結集して運動し、1970年に農業者の年金として制定されました。
2002年1月から、「積立方式」(確定拠出型)を採用する政策年金として生まれかわりましたが、JA組織などとも連携して農村現場への周知徹底と加入推進を行っています。
また、農業者年金の加入者・受給者の自主的な組織である「のうねん倶楽部」の事務局として農業者年金を守り育てるための支援をしています。

家族経営協定の推進

若者や女性にとって、農業を魅力ある職場とするためには、家族経営であっても、経営内の個人の立場を明確にすると同時に、経営と家計の分離など近代的な経営管理に取り組むことが重要です。
1955(昭和30)年代から「家族協定農業」を推進してきましたが、1993年から新たに「家族経営協定」を提唱し、女性や若者も経営に参画し家族みんなで経営方針の協議を行うパートナーシップ経営を推進しています。
農業者年金制度でも家族経営協定を結んで経営に参画している配偶者、後継者は政策支援(保険料の国庫補助)の対象とされています。

新規就農

―農業での就業と独立、人材育成を支援する全国新規就農相談センター―

農業者の高齢化、後継者不足による担い手不足は深刻です。
また、規模拡大や法人化、経営多角化が進む農業法人などではさらなる経営発展をめざし、多様な人材を求めています。 一方で、農家の出身ではないが、仕事として、あるいは自分らしい生き方として農業を始めたいという人たちが年々増加しています。全国農業会議所と都道府県農業会議では、このような声に応えるために新規就農相談センターを設置して、情報提供・相談・体験研修・就業・独立までの様々な就農支援を行うとともに、農業法人の従業員や後継者の研修などの人材対策に取り組んでいます。

新規就農のための情報提供と相談活動

日常的な面談や電話、メールなどによる相談活動、新規就農相談会(新・農業人フェア)等の就農相談活動、求人情報の収集・提供・管理、ホームページを活用した多角的な情報提供、相談・情報提供業務の基礎資料となる新規就農者の就農実態調査等の各種調査、新規就農事例集の作成、「就農案内読本」や「農業インターンシップ」などのパンフレット、リーフレットの発行などのほか、新・農業人ネットワークの事務局運営などを行っています。
また、「移住・交流情報ガーデン」にも相談員を配置し、相談活動や各地方自治体等が開催するイベントでの講演なども行っています。

本格的に就農する前の体験・研修支援活動

学生と社会人を対象に、全国約300の農業法人等と提携した農場現場における「農業イ ンターンシップ」と、茨城県にある日本農業実践学園と提携して、「就農準備学校」で理論学習と実習を行う「チャレンジ・ザ・農業体験・研修」を行っています。
インターンシップは、登録している受け入れ可能な農業法人等と体験希望者を、体験希望地域・作目・期間に応じてマッチングさせ、体験を通じて就農・就業のきっかけとします。また、雇用のミスマッチを防ぐため、採用予定者の事前体験も行います。体験期間は1週間~6週間です。
チャレンジ・ザ・農業体験・研修は、稲作や野菜、施設栽培、有機栽培などの作目ごとに1週間、1ヵ月 、3ヵ月 の研修コースを開設しています。

農業法人等における雇用の確保と人材育成支援活動(農の雇用事業)

将来の担い手を確保・育成するため、農業法人等が、農業経験5年未満の新規就業者を新たに雇用して行う、技術や経営ノウハウを身につけさせるための実践的な研修等に対して助成する事業です。新規就業者は期間の定めのない正社員として雇用されるため、安定した雇用条件の下で就農に必要な研修を受けることができます。また、経営者や指導者側が、人材育成や指導力の向上、職場の労務管理改善のために研修会等に参加する場合の費用を助成するメニューもあり、新規就業者を中核的人材へと育成するために各種支援を実施しています。 都道府県農業会議が窓口となり、募集の受付、現地確認、説明会などを行っています。

後継者のいない農業経営を第三者に継承する活動

後継者のいない農業経営(農地、機械・施設、栽培技術、経営管理能力、販路、地域における役割等の『経営資産』)を散逸させず、第三者である新規就農者や独立を目指す農業法人等の従業員、農業研修生に継承することを支援する活動です。
支援は、①経営移譲者の研修に対する助成、②移譲者、経営者双方に安心・確実な継承のための経営継承合意書の締結、③行政や農業委員、JA、普及機関などが連携して組んだコーディネートチームのバックアップ─などです。

日本農業技術検定

日本農業技術検定協会(農業教育、農業関連の13団体で構成)の事務局として、農業を学ぶ学生や新規就農(希望)者などの農業についての知識、技術水準を客観的に評価する農業技術検定試験を実施しています。
試験内容は、学科1~3級と実技1~2級で、農業高校生、農業大学校生、大学農学部の学生などの他、農業法人などに新規就業した人、JA・行政など農業関係機関・団体の職員など、農業に関心をもつ多くの方が受験しています。

農政

-農業者の声を政策に反映-

全国農業会議所は、農業・農業者の公的な代表機関である農業委員会組織の全国組織として位置づけられています。 「農業委員会等に関する法律」において、全国農業会議所の業務として「関係行政機関等に対して、農地等利用最適化推進施策の改善についての意見の提出」が掲げられており、広く農業者の声を国の施策に反映させる重要な使命をもっています。その代表的な仕事に、これまで19回に及ぶ農林水産大臣からの諮問に対する答申があるとともに、農政見直しの節目節目において、意見の公表や建議(政策提案)の活動を幅広く行っています。

農林水産大臣への答申で農政提言

これまでの19回に及ぶ答申は、着実に国の施策に反映されています。
食料・農業・農村基本法など農政の根幹にかかわる主要な法律・制度のいくつかはこうした「提言」があってこそ生まれたものです。
こうした諮問・答申活動は、市町村農業委員会・都道府県農業会議が行う意見の公表や行政庁に対する建議・答申などの農政活動を基盤として実施していましたが、 2001年(平成13年)からは、次年度予算の概算要求等に向けて担い手・経営・農地政策を中心に「政策提案」を行っています。
 また、2016年には改正農業委員会法が施行され、新たに「農地等利用最適化推進施策の改善に資する意見の提出」が義務づけられました。行政庁は、提出された意見を踏まえた改善施策を講じなければならないとされ、より現場の意見が反映されるようになっています。

意欲ある農業者などの農業現場の生の声を農政へ

市町村農業委員会では、農地の確保や認定農業者など担い手への農地の利用集積、農業を担う人材の確保など食料・農業・農村基本計画の具体化に向け、農業者等との意見交換会の開催などの活動に取り組んでいます。
こうした意見交換会等を通じて農業・農村の現場から出された課題等を積み上げるとともに、各種の調査結果を踏まえ、農業諸制度の改正や創設、予算や税制などの具体的施策の実現に向けた提案や意見の公表等の農政活動に取り組んでいます。

わが国の考えを世界に向けて主張

世界的な農業団体である世界農業者機構(WFO、2011年創設、本部・ローマ)の一員として活動しています。また国連食糧農業機関(FAO)に認可されたNGO団体として、WTO農業交渉における政府間交渉の支援等を通じ、わが国の考えを国際レベルで強く主張するとともに、世界的な食料供給の安定確保など21世紀における持続可能な食料・農業政策の確立に世界の農業団体と一体になって取り組んでいます。
また、海外の農業団体との交流などを通じて、海外の農業事情や農政諸制度についての資料や情報を収集し、日常の農政活動に役立てています。

都市農業の振興

都市農業は、新鮮で安全な農産物の供給、防災空間や緑地空間など多様な役割を果たしており、都市住民からは「農のあるまちづくり」への期待も高まってきています。
こうしたことから、都市農業の振興と都市農地の保全に向けた具体的な施策の検討、農業体験農園の普及や市民農園の推進などを通じた都市住民に対する農業理解のさらなる醸成に取り組んでいます。

情報

―的確な農業・農村情報の提供―

農業者・農村の視点にたった的確な情報を提供するため、全国農業新聞や全国農業図書などを発行しています。農業委員会組織の情報活動(農委法6条3項2号業務)を推進する系統事業として取り組んでいます。

全国農業新聞の発行

全国農業新聞は1952年に創刊された約60年を超える歴史を持つ農業総合専門紙です。
「くらしと経営」に役立つ新聞として高い評価を得ています。
農村現場では、全国農業新聞が発信するこれら情報を活用した農業委員と農業者、地域住民の話し合いをもとに、地域農業の振興と農業・農村についての国民の理解と認識を深める取り組みをすすめています。

農政調査時報の発行

農政調査時報は、農業に関する各種調査報告のほか、農業政策や農業経済の動向、農地や担い手問題など、その時々に応じたテーマを設け、編集・発行している農業委員会組織の調査研究情報誌です。

全国農業図書の発行

全国農業図書は、農業委員や農業者のための書籍を年間50点近く発行しています。農地や農業経営、農業政策などの解説書やリーフレット、新規に農業を始めたい人のためのガイド本など、農業分野での人づくり、経営づくり、地域づくりを支援しています。また、無料のフリーマガジン「iju info」(イジュウ インフォ)を年2回発行し、農林漁業への就業・就職希望者やi・j・uターン、田舎暮らしなどの情報を求める人への情報発信を行っています。

「農業委員会だより」全国コンクールの実施

 農業委員会が独自に行う情報活動を一層強化することを目的に、1995年から農業委員会が独自に発行する「農業委員会だより」の全国コンクールを実施しています。

調査

―新たな展開のための礎―

データは力なり。しっかりした調査活動に基づく実態把握こそ次の展開に向けた出発点です。 農業委員会組織では、農業政策・農地政策さらには地域政策立案の基礎データを得るため、 各種の調査を実施しています。

田畑売買価格等に関する調査

全国の農地価格の動向を把握するため、1956年(昭和31年)以来毎年、全国で約1万1,000地区を対象に耕作目的の売買価格と転用目的の売買価格を調査しています。 調査結果は、農地政策・構造政策推進の基礎資料として広く活用され、わが国の農地価格の動向を把握する最も信頼性の高い統計として政府の『食料・農業・農村白書』などにも引用されているほか地方自治体、大学等の研究機関などで幅広く活用されています。

農作業料金・農業労賃に関する調査

農業労働賃金の実態把握と農業経営の合理化を目的として、昭和35年以来毎年、全国の市町村農業委員会を対象に農作業料金・農業労賃と農村部の他産業賃金の調査を行っています。
これらの調査結果は、各地域で定めている農作業標準賃金、農作業協定料金などの設定に利用されているほか、構造政策推進の基礎資料として広く活用されています。

その他の調査

このほか、相続等によって農家以外や不在村の農地所有者が生じていることに対応して、そうした農地の有効利用に向けた対策や耕作放棄地の解消などのための調査、今後の農業政策のあり方について政策提案を行うための調査等を実施しています。

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03-6910-1121(代表)
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