2004(平成16)年度 農業委員会会長大会

農業委員会の活動・組織の改革に関する特別決議を決定
/2004年度全国農業委員会会長大会

2004年5月26日、全国農業委員会会長大会で全国の農業委員会会長が意思の統一を図り、農業者の代表としての自覚と誇りを持って、組織自らの活動・組織の改革に取り組み、「地域農業再生運動」を基礎とした実践活動の展開により、農業委員会の活動・組織の改革の一層の推進を図ることを特別決議しました。

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改正農業委員会法を踏まえた組織対応

2004年度全国農業委員会会長大会(2004年5月26日)において、農業委員会法の改正を踏まえた新たな改革プログラムの策定をはじめ、優良農地の確保と有効利用の取り組み強化、認定農業者等の担い手づくりと農地利用集積の促進、農業委員会組織の体制及び運営の整備強化を内容とする「農業委員会の活動・組織の改革に関する特別決議」を決定し、その推進を図ることとしました。

また、2004年8月から9月にかけて、全国9地区で「改正農業委員会法研修会」を開催し、改正農業委員会法の趣旨や内容、農業委員会法の改正を踏まえた当面の組織対応についての農業・農村現場への周知徹底が図られました。

さらに、2004年11月11日の都道府県農業会議会長会議において、農業委員会法の改正等を踏まえた、「新たな時代の農業委員会組織・活動の改革に向けた組織対応方針」と「新・農委組織活動改革プログラム」(2005年度~2007年度)を決定し、時代の変化に対応し得る組織・活動のさらなる改革を進めていきます。また、2004年12月2日の全国農業委員会会長代表者集会で「活力ある農業・農村づくりに向けた農業委員会組織・活動の改革に関する申し合わせ」を決議しました。

なお、6年間の「地域農業再生運動」の検証を踏まえ、2005年度から農業委員会系統組織の新たな全国運動として「農地と担い手を守り活かす運動」(2005年度~2007年度)を展開しています。

「農業委員会等制度研究会」での検討と「地域農業再生運動」の推進

わが国の農業・農村が、急激な国際化や担い手の減少、農地の遊休・荒廃化など多くの課題に直面し、経営感覚の優れた経営が日本の農業生産の太宗を担う農業構造の構築が急がれる中で、農業委員会系統組織の業務・組織のあり方等を見直して構造政策の推進に十分な役割を発揮する方向を検討するため、1994年10月に「農業委員会等制度研究会」(田中宏尚座長)が設置されました。

「研究会」では、系統組織の代表のほか学識経験者をはじめ各界から広く委員を選び、系統組織の果たすべき役割に応じた業務・組織体制のあり方について検討し、1995年12月には中間報告「農業委員会系統組織の展開方向~地域の特性に応じた農業の確立に向けて~」を取りまとめました。

報告書では、系統組織の当面の展開方向を示すとともに、基本的なあり方については、農業関係機関・団体の全体的な問題として今後の基本的な農政の枠組みの中で多面的な視点から慎重な議論を行うこととされました。

その後、農業委員会系統の新たな組織運動として、1999年度から2004年度までの6か年間を運動期間として、前期3か年を第1ステージ(地域農業の再点検・ビジョンづくり、モデル地域づくりを中心とした取り組み)、後期3か年を第2ステージ(地域農業の再生のための実践運動を中心とした取り組み)とする「地域農業再生運動」を展開することとなりました。

「地域農業再生運動」の目標

  1. 国際化と時代のニーズに応え得る力強い農業経営づくり
  2. 担い手不足地域における農地保全・地域営農システム(特定農業法人等)づくり
  3. 国民的ニーズに応える農地利用システム(市民農園、福祉・体験農園等)づくり

「研究会」最終報告と「改革プログラム」の取り組み

農業の基本法制について検討していた食料・農業・農村基本問題調査会が1998年9月に答申を行い、農業委員会系統組織の役割等についての指摘がなされたことから、「研究会」中間報告で中長期課題とされた事項を検討するため「農業委員会等制度研究会」が同年10月に再会され、系統組織の見直しの方向について論点を整理して、政府が策定した農政改革大綱・政策プログラムに反映させました。しかしながら、最終報告については、農地法関連制度の検討状況を勘案しつつ取りまとめることとし、「研究会」は一時中断しました。

1999年7月に食料・農業・農村基本法が成立し、また農業生産法人制度検討会報告が取りまとめられたことをふまえ、同年12月に「研究会」が再び開催されて系統組織の見直しの方向について検討を行い、2000年1月に開かれた通算して第12回目の「研究会」で最終報告「農業委員会制度研究会報告書~地域農業確立のための組織づくりに向けて~」を取りまとめました。

最終報告を受けて全国農業会議所が策定した「農業委員会系統組織の改革プログラム」(2001年1月)をふまえ、農業委員会段階からの組織討議を積み上げて同年5月の全国農業委員会会長大会において「農業委員会系統組織・活動の改革に関する特別決議-行動しよう、『食料・農業・農村基本計画』の実現に向けて-」を決定し、系統組織の活動と組織の改革にむけた取り組みを展開してきています。

とくに「決議」の中では、重点化する活動として、つぎの4つを掲げました。

  1. 農業者や地域の声を代弁し、実現する取り組み
  2. 認定農業者などの担い手への支援の取り組み
  3. 「農地を守り、活かす」ための地域運動への取り組み
  4. 「農」と「住」の調和のとれた農村地域づくりと、「食」と「農」への国民理解に向けた取り組み

また、組織の改革として、つぎの4つに取り組むこととしています。

  1. 農業委員の地区担当制の整備と徹底
  2. 農業委員定数の適正化
  3. 青年農業者・女性等の選出の推進
  4. 農業委員会の広域連携システムの確立

「農業委員会に関する懇談会」報告と組織検討の取りまとめ

その後、農林水産省が2002年4月に策定した「食と農の再生プラン」に沿った農地制度等の見直し、地方分権改革推進会議の「農業委員会の必置規制の撤廃または大幅緩和、交付金の一般財源化について検討すべき」との指摘、経済財政諮問会議や総合規制改革会議における農業委員会組織のスリム化や透明性の確保等の指摘がなされ、あらためて農業委員会等の活動や組織の見直しが議論となりました。

これらの情勢を受けて、農林水産省は2002年10月に「農業委員会に関する懇談会」(八木宏典座長・東京大学大学院農学生命科学研究科教授)を設置し、農業委員会系統組織における活動、組織等の基本的な方向を明らかにするための検討を行いました。「懇談会」は、農業委員会の現場からのヒヤリングなども実施して議論を積み重ね、2003年4月にその成果として今後の農業委員会の活動・組織のあり方、改革の基本方向を「農業委員会に関する懇談会報告書」として取りまとめました。

「報告書」では、農業委員会について「農地法等の法令業務に係る権利調整機関と、農地の流動化、担い手育成等の構造政策の推進機関という2つの役割を担ってきている」とし、「今日においても農政上の意義を有する」ことから、必置規制と交付金についての基本的な考え方を堅持することが確認されました。その上で、実際の活動・組織について、1)「農地の利用および管理を基本に役割を明確化し、活動の重点化を図ることが重要」とするとともに、2)「市町村の立地条件や意向等に応じてより弾力的な活動・運営を可能とするように、活動の重点化、必置基準、委員定数、委員構成等について見直しを図ることが重要」と指摘しています。

この「報告書」を受けて、政府は2003年6月のいわゆる「骨太方針第3弾(基本方針2003年)」において次期通常国会に農業委員会法の改正法案を提出することとし、農業委員会系統組織では活動・組織改革に向けた組織検討を市町村の農業委員会段階から積み上げることとしました。

組織討議では、6月から9月にかけて全国の農業委員会の総会や都道府県農業会議の常任会議員会議等で検討を行い、全国段階の特別委員会等での議論を積み重ねました。その検討結果を取りまとめるとともに、農業委員会系統組織の意見集約として10月16日の都道府県農業会議会長会議において「農業委員会制度の見直しに関する基本的な考え方について」を決定しました。

「基本的な考え方」では、『I.制度見直しの基本的視点』として、1)農業委員会の必置規制堅持を前提として、2)時代の変化に対応した農業委員会制度の見直し、3)地域農業再生運動を基礎にした自らの活動・組織の改革-を掲げ、『II.活動の見直しの視点』として、1)農地制度の見直しに等にともなう新たな法令業務への対応、2)農地と担い手・経営に絞り込んだ活動の重点化、3)具体的な政策提案など農業者の代表機能の実践的な改革-が重要だとした。さらに、『III.組織の見直し』として、農業委員会設置の在り方や市町村合併の進展等にともなう体制整備などについて系統組織の考え方を明らかにしました。

全国農業会議所の太田豊秋会長は、10月17日に亀井善之農林水産大臣に「基本的な考え方」を説明して、今後の農業委員会制度改正の検討に反映するよう求め、系統組織としてその実現を目指すこととしています。

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