実技試験問題の範囲と基準
1 初級試験問題の基準
初級試験は、基本的な業務を遂行するために必要な基礎的な技能および知識の問題です。
実技試験問題
各種農作業について初歩的な知識を有し、安全の確保を図りつつ、一定時間内に作業が確実にできることを求めます。
2 実技試験問題の範囲
(1)耕種農業
【 施設園芸 】
- ①土壌の観察
・土壌の種類を判断できること
(対象作目が「キノコ」の場合は土壌を培地とする)
- ②肥料の取扱い
・肥料(有機質肥料、化学肥料等肥料の種類)を区別できること
(対象作目が「キノコ」の場合は肥料を栄養材とする)
- ③環境管理
・温度計を読めること
- ④栽培に関する作業
・葉数、草丈を測れること
(対象作目が「キノコ」の場合は、葉数を菌傘の直径とし、草丈を菌柄の長さとする)
- ⑤ 資材・装置取り扱い作業
・資材の種類を判断できること
(対象作目が「キノコ」の場合は、菌床栽培の資材)
- ⑥ 安全衛生
・作業用機械の安全確認(燃油の区別)ができること
・農薬を安全に使用するための防除衣を身につけられること
【 畑作・野菜 】
- ①土壌の観察
・土壌の種類を判断できること
- ②肥料の取扱い
・肥料(有機質肥料、化学肥料等肥料の種類)を区別できること
- ③栽培に関する作業
・播種作業ができること
・種子(種子の種類、加工した種子)を区別できること
・かん水作業ができること
- ④安全衛生
・作業用機械の安全確認(燃油の区別)ができること
・農薬を安全に使用するための防除衣を身につけられること
【 果樹 】
- ①土壌の観察
・土壌の種類を判断できること
- ②肥料の取扱い
・肥料(有機質肥料、化学肥料等肥料の種類)を区別できること
- ③苗木の取り扱い
・苗木を区別できること
- ④栽培に関する作業
1)共通
・摘果ができること
2)選択問題(落葉果樹)
・人工受粉器具を区別できること
3)選択問題(常緑果樹)
・収穫作業ができること
- ⑤安全衛生
・農薬を安全に使用するための防除衣を身につけられること
(2)畜産農業
【 養鶏 】
- ①個体の取り扱い作業
・鶏の捕獲・保定・運搬作業
- ②個体の観察
・異常鶏の識別(鶏の異常を判断できること)
・鶏体の構造(鶏の部位を示すことができること)
- ③飼養監理
・飼料の識別
- ④生産物の取扱い
・卵の置き方(卵をつかみ、上下を揃えてトレーへ置けること)
・卵の選別(新鮮な卵の判別)
- ⑤安全衛生
・消毒液を安全に使用するための防除衣を身につけられること
【 養豚 】
- ①個体の取り扱い作業
・子豚の移動作業
- ②豚種の区分
・豚種についての判別
- ③個体の観察
・異常豚の識別(豚の異常を判断できること)
・豚体の構造(豚の部位を知っていること)
・豚の体高の測定
- ④飼養管理
・飼料原料を識別できること(飼料の種類を知っていること)
- ⑤安全衛生
・消毒液を安全に使用するための防除衣を身につけられること
【 酪農 】
- ①器具の取扱い
・酪農の器具が識別できること
- ②個体の観察
・異常牛(乳牛の異常を判断できること)
・牛体の測定(牛体の体温測定の仕方を知っていること)
・乳牛の品種(乳牛の品種を知っていること)
- ③飼養管理
・飼料を識別できること(飼料の種類を知っていること)
- ④生産物の取り扱い
・搾乳の手順がわかること
・搾乳用器具の取り扱い方がわかること
- ⑤安全衛生
・消毒液を安全に使用するための防除衣を身につけられること
実技試験(中級)問題の範囲と基準
1 中級試験問題の基準
中級試験は、基本的な業務を遂行するために必要な技能および知識の問題です。
実技試験問題
各種農作業について基礎的な知識を有し、安全の確保を図りつつ、一定時間内に作業が確実にできることを求めます。
2 実技試験問題の範囲
(1)耕種農業
【 施設園芸 】
- ①土壌の観察
・基礎的な土壌の種類を判断できること
(対象作目が「キノコ」の場合は、土壌を培地とする)
- ②肥料の取扱い
・肥料を区別し、肥料成分を基に肥料の使用量を計算できること
(対象作目が「キノコ」の場合は、肥料を栄養材とする)
- ③環境管理
・温度計(最低最高温度計)を読めること
- ④栽培に関する作業
・基礎的な生育診断ができること
(対象作目が「キノコ」場合は、種類を判断できること)
・施設園芸の機械・装置の種類を判断できること - ⑤安全衛生
・基本的な農業機械・器具(防除機)が使用できること
・農薬の希釈(農薬使用量の計算)ができること
・農薬を安全に使用するため正しく保護具を選び、防除衣を身につけられること
【 畑作・野菜 】
- ①土壌の観察
・基礎的な土壌の種類を判断できること
- ②肥料の取扱い
・肥料を区別し、肥料成分を基に肥料の使用量を計算できること
- ③種子の取扱
・種子を区別し、計量できること
- ④栽培に関する作業
・基礎的な播種作業ができること
・基礎的な作物の生育診断ができること
- ⑤安全衛生
・基本的な農業機械・器具(防除機)が使用できること
・農薬の希釈(農薬使用量の計算)ができること
・農薬を安全に使用するため正しく保護具を選び、防除衣を身につけられること
(2)畜産農業
【 養鶏 】
- ①鶏種の区分
・鶏種についての判別(鶏種を選定できること)
- ②個体の観察
・異常鶏(鶏の異常を判断できること)
・鶏体の構造(鶏の部位を示すことができること)
- ③生産物の取扱い
・卵の置き方(卵を掴み、上下を揃えてトレーへ置けること)
・卵の選別(汚卵・破卵(異常卵)を選別できること)
- ④安全衛生
・消毒液を安全に使用するための防除衣を身につけられること
【 養豚 】
- ①豚種の区分
・豚種についての判別(豚種を選定できること)
- ②個体の観察
・異常豚(豚の異常を判断できること)
・豚体の構造(豚の部位を知っていること)
・豚体の測定(豚体の測定の仕方を知っていること)
- ③飼養管理
・飼料原料を識別できること
- ④安全衛生
・消毒液を安全に使用するための防除衣を身につけられること
【 酪農 】
- ①器具の取扱い
・酪農の器具を識別できること
- ②個体の観察
・異常牛(乳牛の異常を判断できること)
・牛体の測定(牛体の測定の仕方を知っていること)
・乳牛の品種(乳牛の品種を知っていること)
- ③飼養管理
・飼料の品質を識別できること
- ④生産物の取り扱い
・搾乳の手順が分かること
- ⑤安全衛生
・消毒液を安全に使用するための防除衣を身につけられること
実技試験(専門級)問題の範囲と基準
1 専門級試験問題の基準
専門級試験は、初級の技能労働者が通常保持すべき技能および知識の問題です。
実技試験問題
各種農作業について農業従事者が通常保持する知識を有し、安全の確保を図りつつ、一定時間内に作業が確実にできることを求めます。
2 実技試験問題の範囲
(1)耕種農業
【 施設園芸 】
- ① 土壌の観察
・土壌の酸度が測定できること(対象作目が「キノコ」の場合は、土壌を培地とする)
- ② 肥料の取扱い
・施肥設計ができること(対象作目が「キノコ」の場合は、肥料を栄養材とする)
- ③ 環境管理
・最高温度、最低温度、現在の温度が測定できること
- ④ 資材・装置の取扱い
・被覆資材の利用目的を理解し、区別できること
- ⑤ 栽培に関する作業
・セル苗が定植できること(対象作目が「キノコ」の場合は、種類を判断できること)
- ⑥ 安全衛生
・正しい防除衣の着用、噴霧器の安全点検、散布後の処理ができること
【 畑作・野菜 】
- ① 土壌の観察
・土壌の酸度が測定できること
- ② 肥料の取扱い
・施肥設計ができること
- ③ 種子の取扱い
・種子が区別できること
・明発芽種子が区別できること - ④ 資材・装置の取扱い
・被覆資材の利用目的を理解し、区別できること
- ⑤ 栽培に関する作業
・セル苗が定植できること
- ⑥ 安全衛生
・正しい防除衣の着用、噴霧器の安全点検、散布後の処理ができること
【 果樹 】
- ① 土壌の観察
・土壌の酸度が測定できること
- ② 肥料の取扱い
・施肥設計ができること
- ③ 種子・苗木の取扱い
・切り接ぎ(常緑果樹、落葉果樹)ができること
・台木と接ぎ穂を合わせることができること - ④ 栽培に関する作業
果樹共通
・せん定ができること
・摘果ができること - ⑤ 安全衛生
・正しい防除衣の着用、噴霧器の安全点検、散布後の処理ができること
(2)畜産農業
【 養鶏 】
- ① 個体の取扱い
・断し(デビーク)ができること
- ② 個体の観察
・鶏種が判別できること
・異常鶏が判別できること - ③ 飼養管理
・飼料が判別できること
・器具の取扱いができること - ④ 生産物の取扱い
・異常卵が判別できること
・卵質が判別できること - ⑤ 安全衛生
・消毒の手順が分かること
・消毒薬の希釈ができること
【 養豚 】
- ① 個体の取扱い
・繁殖豚が判別できること
・発情豚が判別できること - ② 個体の観察
・品種名と、その特徴が判別できること
・豚体の構造(体の部位が判別できること)
・出荷豚が判別できること - ③ 飼養管理
・飼料が判別できること
・飼料の形態が判別できること - ④ 安全衛生
・消毒薬を正しく保管できること
・消毒の手順が分かること・消毒薬の希釈ができること
【 酪農 】
- ① 器具の取扱い
・酪農器具と、その利用目的が判別できること
- ② 個体の観察
・牛体の測定(牛の体型が判別できること)
・異常牛(爪の長さで判別ができること) - ③ 飼養管理
・飼槽状態の判別ができること
・飼料給与の手順が判別できること・牛床の状態が判別できること
- ④ 生産物の取扱い
・搾乳の手順(作業の手順が分かること)
・搾乳用器具の取扱い(器具と利用目的が分かること) - ⑤ 安全衛生
・消毒の手順が分かること
・消毒薬の希釈ができること
実技試験(上級)問題の範囲と基準
1 上級試験問題の基準
上級試験は、日本における一般的な耕種農業(または畜産農業)従事者が通常有すべき技能に関する問題です。
実技試験問題
各種農作業(耕種農作業または畜産農作業)についての技能を有し、安全の確保を図りつつ、一定時間内に確実に実施できることを求めます。
2 実技試験問題の範囲
(1)耕種農業
【 施設園芸 】(キノコ含む)
① 土壌の観察
- ・土壌の三相が理解できること(対象作目がキノコの場合は、培地づくりを理解できること)
② 肥料の取扱い
- ・施肥設計ができること(対象作目がキノコの場合は、肥料を栄養材とする)
③ 環境管理
- ・施設内の環境調整ができること(対象作目がキノコの場合は、それぞれの品種の室内の温度、湿度、炭酸ガス濃度が調整できること)
- ・施設園芸の適温域が判別できること(対象作目がキノコの場合は、施設内の適温 域が判別できること)
④ 資材・装置の取扱い
- ・かん水装置の利用方法を理解できること(対象作目がキノコの場合は、室内の資材、器具、装置の利用方法を理解できること)
⑤ 栽培に関する作業
- ・作物の生育診断ができること(対象作目がキノコの場合は、種菌を接種できること)
- ・病害虫を特定し、防除できること(対象作物がキノコの場合は、病害虫を防除できること)
- ・健康な苗を判別できること(対象作物がキノコの場合は、健康なキノコを判別できること)
⑥ 安全衛生・農薬や消毒液を用途に合わせて希釈できること
【 畑作・野菜 】
① 土壌の観察
- ・土壌の三相が理解できること
② 肥料の取扱い
- ・施肥設計ができること
③ 種子の取扱い
- ・明発芽種子が判別できること
- ・暗発芽種子が判別できること
④ 資材の取扱い
- ・被覆資材の利用目的を理解し、判別できること
⑤ 栽培に関する作業
- ・播種、苗の定植ができること
- ・かん水器具の利用方法を理解できること
- ・作物の生育診断ができること
- ・病害虫や雑草を特定し、防除できること
⑥ 安全衛生
- ・農薬や消毒液を用途に合わせて希釈できること
【 果樹 】(常緑果樹、落葉果樹)
① 土壌の観察
- ・土壌の三相が理解できること
② 肥料の取扱い
- ・施肥設計ができること
③ 苗木の取扱い
- ・せん定ができること
- ・定植に必要な苗木数が判別できること
- ・仕立て方(樹形)が判別できること
④ 栽培に関する作業
- ・作業機械・器具が判別できること
- ・ネットの判別ができること
- ・摘果ができること
- ・作物の生育診断ができること
- ・病害虫を特定し、防除できること
⑤ 安全衛生
- ・農薬や消毒液を用途に合わせて希釈できること
(2)畜産農業
【 養鶏 】
① 個体の取扱い
- ・収容、保定することができること
② 個体の観察
- ・異常鶏が判別できること
- ・消化器の構造が判別できること
- ・病気(疾病)への対応が判別できること
③ 飼養管理
- ・生育度合いに合わせて飼料が判別・給与できること
- ・飼料要求率が判定できること
④ 生産物の取扱い
- ・異常卵が判別できること
- ・卵質が判別できること
- ・産卵率が判定できること
⑤ 安全衛生
- ・衛生管理区域が判別できること
- ・消毒液を用途に合わせて希釈できること
【 養豚 】
① 個体の取扱い
- ・交配の組み合わせが判別できること
② 個体の観察
- ・妊娠器官が判別できること
- ・異常豚が判別できること
- ・理想的な母豚の体型が判別できること
③ 飼養管理
- ・生育度合いに合わせた飼料が判別できること
- ・飼料添加物が判別できること
- ・飼養する床面積が判別できること
- ・飼養する適温域が判別できること
- ・飼料要求率が判定できること
- ・病害を特定できること
④ 安全衛生
- ・消毒液を用途に合わせて希釈できること
【 酪農 】
① 器具の取扱い
- ・器具と、その利用目的が判別できること
② 個体の観察
- ・秘乳期の体型が判別できること
- ・発情牛が判別できること
- ・異常牛が判別できること
- ・自然分娩の体勢が判別できること
- ・蹄の状態が判別できること
③ 飼養管理
- ・生育度合いに合わせた飼料の判別ができること
- ・飼養する適温域が判別できること
④ 生産物の取扱い
- ・乳質が判定できること
- ・乳量が判定できること
⑤ 安全衛生
- ・消毒液を用途に合わせて希釈できること
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